日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題A】トップアスリート養成をいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題A】口頭発表①

2023年8月30日(水) 10:20 〜 11:19 RYB1 (良心館地下1階RYB1番教室)

座長:須甲 理生(日本女子体育大学)

10:35 〜 10:49

[競技スポーツ-A-02] アスリートのリーダーシップスキルの成長に関する検討(心)

*小菅 (町田) 萌1、廣光 佑哉2 (1. 大阪体育大学 大学院、2. 同志社大学)

リーダーシップはチームの成功に関連する要因のひとつとして挙げられる。選手のリーダー (=アスリートリーダー)は、コーチとは異なる影響をチームに与えるとされ、特に近年、研究が積み重ねられている。しかしながら、アスリートリーダーの成長に関する研究はほとんど行われておらず、発展が求められる分野である。本研究の目的は、アスリートのリーダーシップスキルを構成する要素を探索し、リーダーシップスキルの成長とチームの一体感を示す集団凝集性との関連について検討することであった。研究1ではアスリート・リーダーシップスキル尺度(ALSI)を作成し、その構成因子を探索的構造方程式モデリング (ESEM)と確認的因子分析 (CFA)を用いて検証した。学生競技スポーツ参加者、411名への調査の結果、アスリートリーダーシップスキルを構成する4因子 (認知、対人、マネジメント、ビジョニングスキル) が確認され、また結果はESEMモデルよりも、4因子のCFAモデル、そして高次因子CFAモデルの採用を示唆した。研究2では、研究1の結果をもとに、211名の学生競技スポーツ参加者へ縦断的に調査を行い、ALSIの測定不変性を検証した。さらに、アスリートリーダーシップスキルの変化と、集団凝集性の関係について交差遅延パネルモデルを用いて検討した。結果、ALSIの縦断的な測定不変性が確認された。またアスリートリーダーシップスキルは集団凝集性の変化を有意に予測しないが、集団凝集性はアスリートのリーダーシップスキルの変化を有意に、正に予測することが示唆された。これらの結果は、集団凝集性を向上させ、チームの機能を向上させることが、アスリートのリーダーシップスキルの成長を促す可能性を示唆している。