日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表④

2023年8月31日(木) 09:00 〜 09:59 RY206 (良心館2階RY206番教室)

座長:松田 恵示(立教大学)

09:15 〜 09:29

[学校保健体育-C-14] 高等学校における体育実技授業の実態調査(教,方)

高等学校教員を対象としたアンケート調査から

*藤本 敏彦1、中原 雄一2 (1. 東北大学高度教養教育・学生支援機構、2. 福岡県立大学)

高等学校(以下高校)における体育実技の意義や実施方法について、これまで評価はほとんど行われていない。我々は昨年の当学会大会において、大学生2,485名を対象に高校時代の体育実技についての調査結果を発表した。今回は同様内容のアンケート調査を当該大学生が卒業した高校525校と、その学校を除く全国から無作為に選んだ高校170校、計695校の体育教員を対象に実施した結果を報告する。 回答数[N1] は167校、回答率は24.0%であった。高校での体育実技の意義の理解とその必要性についての質問に対して、98.8%の高校教員が意義の理解の如何を問わず必要と考えていることが明らかとなった。この結果は大学生の回答とほぼ一致しており、教育条件・環境としては非常に良好な状態にある事を示している。また生徒の体育実技の意義の理解度について質問の質問では、「生徒は十分理解していた」が19.2%、「ある程度理解していたと思う」が77.2%、合計96.4%であった。一方、大学生の64.3%が「解していなかった」と回答しており、教員の思いが十分に通じていない可能性が示された。さらに教員の体育実技の指導法については「先生からの個人的アドバイスのみならず、生徒が教えあうなど、コミュニケーションが図れるような指導」が70.1%、「先生からの個人的アドバイスが中心の指導」が10.2%、「先生からの全体的アドバイスが中心の指導(個人的アドバイスはあまりない)」16.2%であり、積極的指導をしているとの回答が97.6%であった。この結果からすると、高校の体育実技では消極的な指導はほとんど無行われていない事になるが、大学生を対象とした調査結果では28.2%が体育実技において教員の積極的な指導を受けていない可能性が示されており、大きく異なるものであった。教員は体育実技を生徒の立場から考える事が授業改善の一助になると思われる。