日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表⑥

2023年8月31日(木) 13:30 〜 14:29 RY206 (良心館2階RY206番教室)

座長:小椋 優作(中部学院大学短期大学部)

13:30 〜 13:44

[学校保健体育-C-21] 教員養成大学における体つくり運動の学びについて(教)

*佐藤 節子1 (1. 宮城教育大学)

本研究では、2017(平成29)年告示の文部科学省による小・中学校学習指導要領解説体育編において提示されている「体つくり運動」を、筆者が教員養成大学の授業において5年間実施した内容を振り返り、得られた知見を基に今後の展望について考察する。
 学習指導要領に体つくり運動という名称が出現したのは,1998(平成10)年に改訂された小・中学校学習指導要領である。明治以来,教授要目・学習指導要領で使用してきた「体操」という用語が,これ以降消滅したのである。体つくり運動の内容構成は,10年ごとの改訂により名称が変わり,2017(平成29)年の改訂では,小学校低学年においては「からだほぐしの運動遊び」と「多様な動きをつくる運動遊び」,中学年においては「からだほぐしの運動」と「多様な動きをつくる運動」,高学年および中学校1,2年においては「からだほぐしの運動」と「からだの動きを高める運動」,中学校3年においては「からだほぐしの運動」と「実生活に生かす運動の計画」となった。これにより体力という名称が消滅したが,個々の体力テストの数値にとらわれることなく楽しみながら運動することで体力が高まるような内容が求められると考えられる。
 筆者が教員養成大学の授業において実施した中で得られた知見は、次の3点が重要だということである。第1に、スモールステップで出来ることを増やして有能感を高めること、第2に、体との対話を通して、出来たことへの気付きを言語化させて運動をコントロールする能力を高めること、第3にコーディネーショントレーニングの要素を取り入れて、楽しみながら夢中になって取り組むことで,気が付かないうちに体力や運動能力を養うことである。