日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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スポーツ文化研究部会 » 【課題B】人々の生活に根ざした多様なスポーツ文化をいかに醸成していくか

スポーツ文化研究部会【課題B】口頭発表①

2023年8月31日(木) 09:00 〜 09:59 RY303 (良心館3階RY303番教室)

座長:髙尾 尚平(日本福祉大学)

09:30 〜 09:44

[スポーツ文化-B-03] バレーボール部の指導者による暴力に関する研究(哲)

競技特性に着目して

*福井 陽香1 (1. 筑波大学大学院)

本発表の目的は、バレーボール部の指導者による暴力とバレーボールそのものの競技特性がどのように関係しているのかを明らかにすることである。本発表の背景には、例えば2014年の全国大学体育連合による調査報告書において、各競技の体罰経験率が示されており、その中でも特にバレーボール部の暴力の多さが指摘されていることが挙げられる。このような問題については、バレーボール部を含めた運動部活動の暴力を根絶するべきであるという主張がこれまでにも繰り返しなされてきた。そうであるにもかかわらず、2023年においても、バレーボール部の指導者による暴力は度々発生している。
 これまでの運動部活動における暴力に関する研究は、指導者による暴力の発生や循環などの理由を、様々な論点から検討してきた。しかし一方で、それらの先行研究は、対象を運動部活動と一括りにしてきたために、或る特定の競技において暴力が多く発生する理由については解明できていない。つまり、先行研究では、バレーボール部において暴力が多く発生する理由を明らかにできないということである。したがって、本発表では対象をバレーボール部に限定して、この理由を検討する。
 バレーボール部における暴力が、なぜ他競技よりも多く発生するのかという問いの答えを導くためには、他競技との違いを検討しなければならない。そうすることによって、その違いが、暴力とどのように関係しているのかを明らかにすることができるであろう。そのため、本発表では、バレーボールだけが有する性質、すなわち競技特性に着目する。バレーボールの競技特性の一つとして、例えば「相手コートへの返球までに3回のヒットが許されている」ことが挙げられる。このような競技特性が、バレーボール部の指導者による暴力とどのような関係を有しているのかについて検討していく。