日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題B】競技スポーツにおけるコーチ養成をいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題B】口頭発表①

2023年8月31日(木) 09:00 〜 09:59 RYB1 (良心館地下1階RYB1番教室)

座長:高橋 義雄(筑波大学)

09:45 〜 09:59

[競技スポーツ-B-04] 中学生年代の中・長距離種目の競技者におけるテーパリング期間の走行距離の減少率の差異がパフォーマンスおよび生理学的・心理学的指標に及ぼす影響(生)

*小畠 翼1、林 容市1,2 (1. 法政大学大学院スポーツ健康学研究科、2. 法政大学文学部心理学科)

一般成人を対象にしたテーパリングにおいては、その期間中に走行距離を41~60%減少させることでパフォーマンスの向上に有益であると報告されている。しかし、中学生年代においても同様の走行距離の減少が有益であるかどうかは不明瞭である。そこで、中学生年代の中・長距離種目の競技者を対象に、疲労軽減とディトレーニング効果抑制の両面に着目し、テーパリング期間における適正な走行距離の減少率について検討した。
 男子中学生12名(13.5 ± 0.5歳、3000 m走の自己最高記録: 10分25秒39 ± 48秒76)を対象に、通常から走行距離を21%減少(微減テーパリング)または41%減少(低減テーパリング)させる各7日間の2種類のテーパリングを実施させ、テーパリング前後に3000 m走(TT)を行わせた。テーパリング開始時、テーパリング中間日、テーパリング最終日、テーパリング後のTT実施日における心拍変動、POMS2の疲労尺度得点を測定した。これらの各データに対して整列ランク変換を行い、時間(TTは2水準、心拍変動と疲労尺度得点は4水準)および条件(2水準)を固定効果、対象者のIDを変量効果とする混合効果モデルの二要因分散分析を用いて分析を行った。
 テーパリングの違いおよびテーパリング前後のTTに有意な主効果、交互作用は認められなかった。他方、疲労尺度の得点においては時間要因に有意な主効果が認められ、テーパリング開始時とTT実施日の値に有意な差異が認められた。また、条件要因においても有意な主効果が認められ、微減テーパリングと比較して低減テーパリングにおいて有意に低値を示した。
 本研究の結果、微減または低減テーパリングともにディトレーニング効果を抑制しうるが、心理的な疲労感の低減については低減テーパリングの方が効果的である可能性が示唆された。