日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】ハイパフォーマンススポーツ(トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表⑦

2023年8月31日(木) 13:30 〜 14:29 RY103 (良心館1階RY103番教室)

座長:小西 康仁(東海大学)

14:15 〜 14:29

[競技スポーツ-C-28] 男子体操競技ゆかの〈前転脚前挙支持経過閉脚倒立〉の運動構造に関する一考察(方)

*神門 大輔1 (1. 高知大学)

体操競技における技は独自の運動構造が認められなければ類似した他の技との区別ができず、採点規則から消えてしまうことや類似した技と統合されることがある。本研究で扱う〈前転脚前挙支持経過閉脚倒立〉においても〈脚前挙支持から伸腕屈身力倒立〉と運動経過が類似している。〈前転〉から実施するとういう独自の動きを有しているが、〈脚前挙支持〉が含まれることや、腕と腕の間を足先が地面に触れないように通してから倒立位に持ち込むことなど類似している点も多い。
本研究では〈前転脚前挙支持経過閉脚倒立〉の運動構造を明らかにし、類似した技とは異なる独自性を示すことを目的とする。まず、〈前転脚前挙支持経過閉脚倒立〉やその類似した技がこれまでの採点規則においてどのような位置づけがなされていて、難度的価値がどのように変化してきたかを分析する。また、技の表記について考察し、〈前転脚前挙支持経過閉脚倒立〉の運動課題について明らかにしていく。
〈前転脚前挙支持経過閉脚倒立〉はこれまで採点規則が改訂される中で技の表記も変更されてきた。1968年版採点規則では〈前転瞬時脚前挙支持-伸膝で両足を抜き伸腕屈身倒立〉となっており、〈伸腕屈身倒立〉すなわち〈伸肘倒立〉の要素が含まれていたことがわかる。〈伸肘倒立〉は1979年版採点規則以降、〈伸腕屈身力倒立〉と表記されるようになっていったが、〈前転脚前挙支持経過閉脚倒立〉は〈力〉という表記は使われていない。伸腕屈身で実施されることに変わりはないが、力を利用するのではなく、前転からの勢いを利用して倒立に持ち込む技であると考えられる。〈脚前挙支持〉の表記があるが、これは静止が求められるものではなく、経過の姿勢を示すものである。難度的価値の変化や他種目の類似技との関係など、より具体的な考察内容については当日会場にて発表する。