日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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バイオメカニクス/口頭発表③

2023年9月1日(金) 16:00 〜 16:59 RYB1 (良心館地下1階RYB1番教室)

座長:長野 明紀(立命館大学)

16:30 〜 16:44

[05バ-口-13] スポーツ競技会における3次元動作分析のための身体部分長を用いたカメラパラメータ算出方法の開発

*広野 泰子1、藤井 範久1 (1. 筑波大学)

スポーツ競技会における動作分析には、近年多く用いられている動作分析のための測定方法のうち、マーカーやセンサを分析対象である競技者の身体に貼付する必要がある光学式と慣性式の方法ではなく、分析対象への接触が不要な画像式が多く用いられてきた。画像式測定では2台以上のビデオカメラで分析対象を撮影した画像を用いて透視投影の原理に基づいて分析点の3次元座標値が算出されるため、3次元座標値の精度には画面と3次元空間との変換係数であるカメラパラメータの算出(キャリブレーション)精度が大きく影響する。キャリブレーションでは3次元座標値や形状が既知のものが較正値として用いられるが、これらの3次元座標値やデジタイズ値には誤差が含まれている。したがって、キャリブレーションで算出されるカメラパラメータは「較正値が配置された領域をより確からしい3次元空間に復元する」ものであり、3次元座標値の精度保障のためには測定空間を覆うように較正値を配置する必要がある。測定空間である競技フィールド内への立ち入り時間が制限されることにより任意に較正点を配置できないスポーツ競技会での測定のために、これまで、フィールドラインの交点などの特徴点や曲率半径が既知の曲線を較正値として使用する方法が開発されてきた。しかし、野球のマウンドのようにフィールドラインのみでは測定空間を覆うことができない環境では分析に耐えうる3次元座標値の精度が保障されない課題が残っていた。そこで本研究では、分析対象者の身体部分長を較正として代用したカメラパラメータ算出方法を開発した。本方法では3次元空間における身体部分長は位置や姿勢に依らず一定であると仮定し、部分長の変動係数を目的関数にしてカメラパラメータを最適化する。測定空間にもれなく配位される身体部分を較正値とすることで、既存の方法では3次元座標値の精度保障が困難であった環境での精度を向上させる。