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[01史-口-01] 東京教育大学体育学部体育史研究室の機関誌"Guts Guts"
史料紹介と問題提起
本報告の目的は、東京教育大学体育学部体育史研究室(以下、教大体育史研)機関誌"Guts Guts"の第1号から第5号(第4号欠)までを史料として紹介しながら、若干の問題提起をすることにある。当該機関誌の第1号は1961(昭和36)年7月3日発刊、第5号は1962(昭和37)年12月4日発刊である。当該史料は、B4袋とじ、わら半紙にガリ版刷り、ステープラ留め、第1号が全5ページ、第2号が全6ページ、第3号が全13ページ、第4号欠、第5号全14ページのミニマムな紙媒体史料である。現時点で当該史料の歴史的意味や価値は見当がつかず、「ただの紙切れ」かもしれない。先行研究も存在しない現状からすると当該史料を体育・スポーツ史研究の進展に活用する術はほとんどない。しかるに今回の報告では当該史料の内容を紹介することを主眼としながら、当該史料発見に至る経緯を説明し、加えて教大体育史研の歴史的存在意義を再考しつつ、およそ二つの問題提起を試みる予定である。その第一は、当該史料が偶然発見され、その散逸と廃棄という危機を脱したことを引き合いに、体育・スポーツ研究における今後の史料保存について考える素材を提供することにある。そして第二に、教大体育史研が短期間かつ内輪だけであったにせよ機関誌を発刊していたエネルギーに着目しながら、当時の教大体育史研の意義や役割、学術研究、研究者養成についても考えることにある。さらには1949(昭和24)年から1973(昭和48)年までのわずか四半世紀存在したに過ぎない教大体育史研、東京教育大学体育学部、東京教育大学について考える契機を提供していきたい。