日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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測定評価/口頭発表②

2023年9月1日(金) 10:45 〜 11:44 RY204 (良心館2階RY204番教室)

座長:角田 憲治(山口県立大学)

11:15 〜 11:29

[08測-口-07] 生理的・心理的状態および認知機能の級内相関係数

*高橋 信二1 (1. 東北学院大学)

継続的な身体活動は心身の健康に対して好ましい効果を示すことが明らかとなっている。また、身体活動は一過性であっても生理的、心理的状態および認知機能を改善する効果を有すると考えられている。そのため、一過性の身体活動の効果を検証するために、被験者内計画による実験が頻繁に行われている。被験者内計画において、適切な標本の大きさを決定するために級内相関係数(ICC)は重要な要因となるが、これまでに生理的、心理的および認知機能に関するICCを報告した研究は多くない。そこで本研究は、安静時の呼吸循環器、ストレス応答、気分および認知機能における日間変動の級内相関係数を報告した。対象者は健康な男子大学生18名であった。対象は計3日間で安静時の%VO2peak、%HRpeak、唾液アミラーゼ、快適度・覚醒度、ストループ課題における中立課題および不一致課題の反応時間を測定された。ICCの計算には3回の測定の順序効果を固定効果とするモデルを仮定した。呼吸循環器を表す各測定項目はICC ≥ 0.46(P < .001)であり、順序効果に有意性は認められなかった(P ≥ .363)。唾液アミラーゼはICC = 0.62(P < .001)、順序効果に有意性は認められなかった(P = .226)。快適度・覚醒度およびストループ課題の中立および不一致課題の反応時間はICC ≥ 0.57(P < .001)であり、特に心理的快適度と2つのストループ課題ではICC ≥ 0.76と高い値を示したが、有意な順序効果が認められた(P ≤ .018)。これらの結果より、心理的状態および認知機能のICCは生理学的測定項目よりも高いものの、有意な順序効果を有することが明らかとなった。心理的状態と認知機能を従属変数とする被験者内計画を行う際には、実験条件の無作為化あるいはカウンターバランスを取ることが非常に重要である。