日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育方法(偶数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 14:00 〜 15:00 RY450 (良心館4階RY450番教室)

[09方-ポ-40] アシスト地点とシュート地点が象るゴール前攻防の秩序

*有賀 湧史1、三澤 孝康2、中山 雅雄3、木島 章文4 (1. 山梨大学大学院医工農学総合教育生命医科学部、2. 山梨学院大学、3. 筑波大学体育系、4. 山梨大学大学院総合研究部)


FIFA World Cup Qatar 2022の上位8位に残ったチームのシュート地点は4地点に偏っていた。この4地点のうち一つは、攻撃から見てゴール中心から8.0m手前で右方向に4.8mの付近、もう一つは4.8m手前で左方向に11.2mの付近であった。これらに次いで高頻度な地域は17.6m手前で左方向に8.0m付近と、17.6m手前で右方向に14.4m付近であった。この4領域から打たれたシュート数は全シュート数に対してそれぞれ20.8%、11.6 %、10.4 %、7.9 % であり、全体の50%程度を締めていた。次にシュートへ繋がったアシストパスの始点は離散的な偏りを以て8地点に分布しており、これらが4つのシュート地点を取り巻くように島状に分布していた。その8地点とは攻撃から見てゴール中心から20.8m手前で左に8.0m付近、1.6m手前で右に17.6m付近、11.2m手前で左に11.2m付近、17.6m手前で左に17.6m付近、19.2m手前で右に4.8m付近、17.6m手前で右に4.8m付近、11.2m手前で右に27.2m付近、24.0m手前で右に17.6m付近であった。この8つの地点を中心に付近の地点も含んだ地点からは全体の70.4%のアシストパスが出されていた。この分布を象る守備側のプレーヤーの移動ベクトルを詳細に分析すると、シュートを打つプレーヤーに近づくプレーヤーとゴール前に集まるプレーヤーへと分かれるように移動していた。この傾向から守備者分布の密・疎を創発させるダイナミクスは彼らがゴールあるいはボールに引き寄せられる引力から説明でき、ひいてはそのダイナミクスが攻撃者のシュートあるいはアシストパスを創発するという発想を得た。当日は、その力学系に基づく説明を詳細に行い、ゴール前攻守の集団秩序から攻守の平衡を破るダイナミクスを説明したい。