日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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運動生理学(偶数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 11:00 〜 12:00 RY207 (良心館2階RY207番教室)

[04生-ポ-26] 箱根駅伝走行中の間質グルコース値の変動と走パフォーマンスに関する事例報告

*丹治 史弥1、西出 仁明1、両角 速1、宮﨑 誠司1 (1. 東海大学)


東京箱根間往復大学駅伝競走 (箱根駅伝) はすべての区間で走行距離が20 kmを超える学生駅伝で最長距離の駅伝大会である。箱根駅伝走行中の運動強度は80%最大酸素摂取量強度を超え、運動の主なエネルギー基質は糖質である。フルマラソン中では30 km以降に貯蔵グリコーゲンの欠乏による”hitting the wall”の現象が見受けられるが、箱根駅伝においてもしばしば低血糖状態のような走行となった選手が放送され、大きな順位変動を伴うこともある。高強度自転車運動中、競技レベルの高い選手において低い選手よりも高い血糖値が観察される (Coggan et al., 1995; Kjaer et al., 1986) ことから、運動中の血糖値を高く維持することは持久性パフォーマンスに重要であると推測される。そこで本研究は、持続的グルコースモニタリング装置 (CGM) を用いて箱根駅伝走行中の選手の間質グルコース値 (GL) を継続的に評価し、パフォーマンスとの関係を調査した。箱根駅伝に出走する10名の男性長距離ランナーがCGM (フリースタイルリブレ, Abbott Japan) を上腕部に装着し、各区間を走行した。間質グルコース値は15分ごとにデータが蓄積され、出走する5時間前から走行中の値を分析した。その結果、各区間順位が9位以内の選手 (n=4) は10位以降の選手 (n=6) と比べて、走行開始前および走行中のGLが高値を示した。区間順位が17位以降であった4名の選手はタスキを受け取る直前15分間のGLに比べてタスキを渡す (フィニッシュ) 直前15分間のGLが低値であり、うち1名のGLはフィニッシュ直前に65 mg/dLであった。これらの結果は、走行開始前から走行中にかけて血糖値を高く維持することが持久性パフォーマンスを向上させると示唆している。