日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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アダプテッド・スポーツ科学/ポスター発表

2023年9月1日(金) 14:00 〜 15:00 RY431 (良心館4階RY431番教室)

[13ア-ポ-10] パラ陸上(低身長症)男子やり投選手における投てき動作改善に関する事例的研究

*山手 勇一1、水野 洋子2、畑山 茂雄2、内山 治樹2、阿江 通良2 (1. 日本体育大学大学院、2. 日本体育大学)


本研究では、パラ陸上(低身長症)男子やり投選手1名を対象に、モーションキャプチャシステムを用いた即時フィードバックトレーニングによる技術改善の効果を検討することを目的とした。パラ陸上競技選手1名(1.35m、54kg、23歳、最高記録:33.60m、右投げ)を被験者とし、ターボジャブ(600g)を4歩程度の助走にクロスステップを加えた試技を行わせた。6回の試技のうち、5段階の内省評価が3以上の試技を分析の対象とした。被験者の試技を3次元動作分析するために、光学式3次元動作解析システムの赤外線カメラ(Qualisys社製、ArqusA5)12台を用いて身体計測点47点とターボジャブ4点の3次元座標データを収集した。動作の改善には、選手個人の動作に対する意識や動き方の意図が影響すると考えられるため、被験者自身の投てき動作に関する意識を記述させた。その結果、リリース速度のうち、水平速度が高い試技(15.5 m/s)ほど初速度(17.0 m/s)が高い値を示した。投てき動作の意識については、初速度の低い試技では準備局面は体幹の後傾を小さくし、投てき局面は体幹の前傾を大きくすることを意識していたが、初速度の高い試技では準備局面で右上腕を左後方に残し、投てき局面で左脚全体に乗り込むといったように意識の変化がみられた。投てき動作は、右腕全体を左後方へ残すといった意識に変化させたことで準備局面における右肩の水平内転角度が小さくなっており、被験者は右肘を伸展させるのではなく、右肩の水平内転角度を小さくしてターボジャブを後方へ残していた。以上のことから、モーションキャプチャシステムを用いた即時フィードバックトレーニングでは、被験者自身が投てき意識と実際の動作との比較を行うことができ、やりの初速度および水平速度の向上がみられたことから、技術改善の効果として有効であることが明らかとなった。