[O-SN-01-3] 幼児期における感覚刺激受容の偏りと身体機能特性
Keywords:発達障害児, 発達障害境界児, 身体機能
【はじめに,目的】発達障害児数の増加が報告されており,医療機関で診断を受けていないものの発達障害が疑われる児(以下,発達障害境界児)への対応が求められている。発達障害境界児の定義や判定基準は明確に定められていないが,感覚刺激受容の偏りを有することが多いと言われている。また,発達障害児および発達障害境界児の身体機能を向上は,主たる問題であるコミュニケーション能力や社会性の向上の基礎をとなる可能性があり重要である。そこで,本研究の目的は,発達障害境界児の身体機能特性を知る手掛かりを得るために,感覚刺激受容の偏りを有する児(以下,感覚受容偏倚児)の身体機能特性を明らかにすることとした。
【方法】保育所に通所する4,5歳児クラスの幼児95名(男児52名・女児43名,平均月齢63.9±7.4か月)を対象とした。感覚調整障害の評価に用いられるJSI-miniによる評価をクラス担任である保育士が行い,感覚刺激の受容に若干の偏りを有する児と偏りを有する児を抽出した(以下,感覚受容偏倚群)。また,立幅跳び,体支持持続時間,片脚立位保持,長坐位体前屈,足趾把持力,足部柔軟性,アーチ高率を測定した。立幅跳びと体支持持続時間はMKS幼児運動能力検査に則り,片脚立位保持と長坐位体前屈は文部科学省新体力テストに則り測定した。足趾把持力は足趾筋力測定器(竹井機器工業株式会社)を用いて測定した。足部柔軟性は足部最大自動屈曲時の母趾移動距離を足長で除した値とし,アーチ高率は舟状骨粗面から床までの距離を足長で除した値とした。測定の欠損値がなく,脳性麻痺などの神経系疾患等をもたない75名(男児41名・女児34名,平均月齢63.6±7.2か月)を分析対象とした。統計学的処理にはMann-WhitneyのU検定を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】感覚受容偏倚群には男児6名が該当した。健常群と感覚受容偏倚群間で,月齢に有意差はみられなかった。体支持持続時間について,健常群の中央値が23.0秒,感覚受容偏倚群の中央値が5.5秒で,感覚受容偏倚群が有意に短かった。その他の測定項目に両群間で有意差はみられなかった。
【結論】立幅跳びは瞬発力,体維持保持時間は上肢と体幹の筋持久力,片脚立位保持はバランス能力,長坐位体前屈は柔軟性,足趾把持力,足部柔軟性およびアーチ高率は足部機能と関係が深いと考えられる。本研究では健常児と比較した際の感覚受容偏倚児の上肢と体幹の筋持久力の低下が疑われる結果が得られた。この結果は,発達障害児に指摘される姿勢不良や易疲労性に影響している可能性が考えられる。ただし,この他に注意力や知能レベルが影響した可能性も考えられる。今後,発達障害境界児の抽出方法を確立し,発達障害境界児の対象者数を増やし,今回問題が疑われた上肢と体幹の筋持久力等についてより詳細に検討したい。
【方法】保育所に通所する4,5歳児クラスの幼児95名(男児52名・女児43名,平均月齢63.9±7.4か月)を対象とした。感覚調整障害の評価に用いられるJSI-miniによる評価をクラス担任である保育士が行い,感覚刺激の受容に若干の偏りを有する児と偏りを有する児を抽出した(以下,感覚受容偏倚群)。また,立幅跳び,体支持持続時間,片脚立位保持,長坐位体前屈,足趾把持力,足部柔軟性,アーチ高率を測定した。立幅跳びと体支持持続時間はMKS幼児運動能力検査に則り,片脚立位保持と長坐位体前屈は文部科学省新体力テストに則り測定した。足趾把持力は足趾筋力測定器(竹井機器工業株式会社)を用いて測定した。足部柔軟性は足部最大自動屈曲時の母趾移動距離を足長で除した値とし,アーチ高率は舟状骨粗面から床までの距離を足長で除した値とした。測定の欠損値がなく,脳性麻痺などの神経系疾患等をもたない75名(男児41名・女児34名,平均月齢63.6±7.2か月)を分析対象とした。統計学的処理にはMann-WhitneyのU検定を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】感覚受容偏倚群には男児6名が該当した。健常群と感覚受容偏倚群間で,月齢に有意差はみられなかった。体支持持続時間について,健常群の中央値が23.0秒,感覚受容偏倚群の中央値が5.5秒で,感覚受容偏倚群が有意に短かった。その他の測定項目に両群間で有意差はみられなかった。
【結論】立幅跳びは瞬発力,体維持保持時間は上肢と体幹の筋持久力,片脚立位保持はバランス能力,長坐位体前屈は柔軟性,足趾把持力,足部柔軟性およびアーチ高率は足部機能と関係が深いと考えられる。本研究では健常児と比較した際の感覚受容偏倚児の上肢と体幹の筋持久力の低下が疑われる結果が得られた。この結果は,発達障害児に指摘される姿勢不良や易疲労性に影響している可能性が考えられる。ただし,この他に注意力や知能レベルが影響した可能性も考えられる。今後,発達障害境界児の抽出方法を確立し,発達障害境界児の対象者数を増やし,今回問題が疑われた上肢と体幹の筋持久力等についてより詳細に検討したい。