[P-DM-02-2] 2型糖尿病罹患歴の長い高齢者に対する入院での運動療法効果
~複数の阻害因子により運動のモチベーションが低い1症例~
Keywords:2型糖尿病, 運動療法, 血糖コントロール
【はじめに,目的】
罹患歴の長い糖尿病患者において,食事・運動療法を患者自身の意志で継続的に努めるのは困難な場合が多い。小河らは,罹患歴が10年以上になるとインスリン導入からの離脱が困難になるとし,特に高齢者では合併症の進行を伴い,治療効果のある運動療法の提供に難渋する。今回,このような経過で外来でのフォローが困難となり,インスリン量増量するもコントロールが不良な事例に対し,4週間の入院期間中に運動療法を実施した。急性効果及びトレーニング効果について以下に報告する。
【症例紹介および方法】
79歳 女性 身長149cm 体重53,4kg BMI24.1
現病歴:外来受診時,血糖280mg/dl,HbA1c10.0,精査加療目的で入院。
インスリン導入時期:4年以上前にBasal supported Oral Therapy(以下,BOT)中。
入院時ADL:独居にて自立。
阻害因子:①腰部脊柱管症由来の腰痛,②黄斑変性由来の視力低下,③末梢神経障害由来の下肢の痺れ,④罹患歴25年を経過し,高齢なため苦労してまで長生きしなくていいという価値観を有し,行動変容ステージにおける前熟考期に相当。
トレーニング効果として,筋量の測定には生体電気インピーダンス方式体組成計であるPhysion MD(日本シューター社)を用い,リハ開始時及び退院前に測定。行動変容のための体調確認および運動実行に対する意思は適宜確認。そして,インスリン投与単位はカルテにて確認。
リハ開始時筋量測定結果や阻害因子を考慮した上で,有酸素・抵抗運動が共に行える負荷調整が出来て,かつ坐位にて安全に行える環境として以下の運動設定とし,運動前後に血糖測定を行い,急性効果を確認。
強度 自覚的運動強度Borg Scale11~13
頻度 3~4日/週,1回/日
種類 座式上下肢協調運動器であるNuStep T4r(NuStep社)を使用し,負荷3にて有酸 素・抵抗同時運動
持続時間 20~30分
実施時間帯 午後1時30分~2時
【結果】
急性効果として,1回の運動で血糖降下は平均32(±30)mg/dl。
トレーニング効果として,①前熟考期から行動期へ向上。②血糖コントロール改善し,最大24単位/日が退院時10単位/日と減量。③除脂肪体重37.4kg→37.6kg,筋量16.2kg→17.4kgと増加。
【結論】
菅田らは罹患10年未満でBasal Bolus Therapy(以下,BBT)によって糖毒性およびインスリン抵抗が改善し,離脱できるまでに平均4ヶ月程掛かるとしている。本症例は,離脱こそ出来なかったものの,菅田らが提案した離脱基準に相当する程度(0.3単位/kg/日)まで短期間でインスリンが減量出来た。
BBT+食事(1400Kcal/日)そして継続的な運動により骨格筋及び肝臓での糖取り込みを促し,3週間程度の介入で骨格筋量及び除脂肪体重改善され,一層インスリン抵抗性改善に寄与した。これにより必要インスリン減少に繋がったと考える。退院時には経口血糖降下薬に基礎インスリンと一回の追加インスリンによるBasal Plusとなった。
これが達成されるよう患者の調子も考慮した運動促進の声かけを行い,動機付けを図った事が奏功した。
罹患歴の長い糖尿病患者において,食事・運動療法を患者自身の意志で継続的に努めるのは困難な場合が多い。小河らは,罹患歴が10年以上になるとインスリン導入からの離脱が困難になるとし,特に高齢者では合併症の進行を伴い,治療効果のある運動療法の提供に難渋する。今回,このような経過で外来でのフォローが困難となり,インスリン量増量するもコントロールが不良な事例に対し,4週間の入院期間中に運動療法を実施した。急性効果及びトレーニング効果について以下に報告する。
【症例紹介および方法】
79歳 女性 身長149cm 体重53,4kg BMI24.1
現病歴:外来受診時,血糖280mg/dl,HbA1c10.0,精査加療目的で入院。
インスリン導入時期:4年以上前にBasal supported Oral Therapy(以下,BOT)中。
入院時ADL:独居にて自立。
阻害因子:①腰部脊柱管症由来の腰痛,②黄斑変性由来の視力低下,③末梢神経障害由来の下肢の痺れ,④罹患歴25年を経過し,高齢なため苦労してまで長生きしなくていいという価値観を有し,行動変容ステージにおける前熟考期に相当。
トレーニング効果として,筋量の測定には生体電気インピーダンス方式体組成計であるPhysion MD(日本シューター社)を用い,リハ開始時及び退院前に測定。行動変容のための体調確認および運動実行に対する意思は適宜確認。そして,インスリン投与単位はカルテにて確認。
リハ開始時筋量測定結果や阻害因子を考慮した上で,有酸素・抵抗運動が共に行える負荷調整が出来て,かつ坐位にて安全に行える環境として以下の運動設定とし,運動前後に血糖測定を行い,急性効果を確認。
強度 自覚的運動強度Borg Scale11~13
頻度 3~4日/週,1回/日
種類 座式上下肢協調運動器であるNuStep T4r(NuStep社)を使用し,負荷3にて有酸 素・抵抗同時運動
持続時間 20~30分
実施時間帯 午後1時30分~2時
【結果】
急性効果として,1回の運動で血糖降下は平均32(±30)mg/dl。
トレーニング効果として,①前熟考期から行動期へ向上。②血糖コントロール改善し,最大24単位/日が退院時10単位/日と減量。③除脂肪体重37.4kg→37.6kg,筋量16.2kg→17.4kgと増加。
【結論】
菅田らは罹患10年未満でBasal Bolus Therapy(以下,BBT)によって糖毒性およびインスリン抵抗が改善し,離脱できるまでに平均4ヶ月程掛かるとしている。本症例は,離脱こそ出来なかったものの,菅田らが提案した離脱基準に相当する程度(0.3単位/kg/日)まで短期間でインスリンが減量出来た。
BBT+食事(1400Kcal/日)そして継続的な運動により骨格筋及び肝臓での糖取り込みを促し,3週間程度の介入で骨格筋量及び除脂肪体重改善され,一層インスリン抵抗性改善に寄与した。これにより必要インスリン減少に繋がったと考える。退院時には経口血糖降下薬に基礎インスリンと一回の追加インスリンによるBasal Plusとなった。
これが達成されるよう患者の調子も考慮した運動促進の声かけを行い,動機付けを図った事が奏功した。