[O-040] 地域包括ケア病床におけるトイレ動作要介助者の在宅復帰に関する要因
キーワード:地域包括ケア病床、在宅復帰、トイレ動作
【はじめに・目的】
地域包括ケア病床(以下ケア病床)は急性期と在宅の橋渡し役として設立され、在宅復帰や、在宅患者の支援など地域包括ケアシステムにおける中核的な役割を担う機能を求められている。
先行研究では、脳血管障害、入棟時のトイレ動作、および移動動作能力が低い場合が在宅復帰を阻害する要因として示されている。特にトイレ動作は身体的・心理的な介護力を要するが、トイレ動作能力要介助者が在宅復帰にどのように関連しているか示している報告は数少ない。そこでトイレ動作要介助者の身体状況と介護力を含めた在宅復帰に関する要因を抽出することを目的とした。
【方法】
2018年8月から翌年4月に当院ケア病床に入床し、入院前生活拠点が在宅である患者とした。退院時のBarthel Indexにおいてトイレ動作要介助である患者89名のうち、死亡退院、調査項目の欠損があったものを除く80名を対象とした。転帰先が在宅(以下在宅群)46名(平均年齢85.0±6.5歳、男性12名:女性34名、平均在院日数44.6±26.4日)、在宅以外(以下非在宅群)34名(平均年齢88.4±6.0歳、男性6名:女性28名、平均在院日数45.7±31.8日)に分類した。調査項目は対象者のトイレ動作能力、退院後の医療処置の有無、問題行動の有無、コミュニケーションの可否、介護者の性別と健康であるか否か、介護を代われる者の有無、入床時の在宅復帰の意向の有無をカルテより後方視的に抽出した。各調査項目について群間比較する為にX2検定を実施した。統計解析はR2.8.1を使用し、有意水準を5%とした。
【結果】
調査項目において介護者が女性(在宅群71%、非在宅群29%)、入床時に在宅復帰の意向がある(在宅群85%、非在宅群:15%)であり、在宅群で有意に出現した。また対象者のトイレ動作が全介助(在宅群32%、非在宅群68%)、退院後に医療処置がある(在宅群33%、非在宅群67%)、問題行動がある(在宅群22%、非在宅群78%)、コミュニケーション不可(在宅群31%、非在宅群69%)であり、非在宅群で有意に出現した。介護者の健康、介護を代われるものの有無は有意差が認められなかった。
【結論】
トイレ動作要介助者における在宅復帰に関する要因として、トイレ介助に抵抗が少ないとされている介護者が女性であることや、入床時より在宅復帰の意向が示されていることが認められた。一方、阻害要因として対象者の身体状況に関する項目に認められたが、介護力では有意差が認められなかった。先行研究では在宅復帰の意向は、早期から介護者が日常生活での介助の必要性を理解していることが重要であると報告されている。早期から予測される対象者の身体状況と介護者の意向を明確にとらえていくことが在宅復帰を支援していくうえで必要であることが示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は承諾を得たうえ,ヘルシンキ宣言を遵守し実施した。対象者または家族には口頭にて本研究の目的と内容の説明を行い同意を得た。
地域包括ケア病床(以下ケア病床)は急性期と在宅の橋渡し役として設立され、在宅復帰や、在宅患者の支援など地域包括ケアシステムにおける中核的な役割を担う機能を求められている。
先行研究では、脳血管障害、入棟時のトイレ動作、および移動動作能力が低い場合が在宅復帰を阻害する要因として示されている。特にトイレ動作は身体的・心理的な介護力を要するが、トイレ動作能力要介助者が在宅復帰にどのように関連しているか示している報告は数少ない。そこでトイレ動作要介助者の身体状況と介護力を含めた在宅復帰に関する要因を抽出することを目的とした。
【方法】
2018年8月から翌年4月に当院ケア病床に入床し、入院前生活拠点が在宅である患者とした。退院時のBarthel Indexにおいてトイレ動作要介助である患者89名のうち、死亡退院、調査項目の欠損があったものを除く80名を対象とした。転帰先が在宅(以下在宅群)46名(平均年齢85.0±6.5歳、男性12名:女性34名、平均在院日数44.6±26.4日)、在宅以外(以下非在宅群)34名(平均年齢88.4±6.0歳、男性6名:女性28名、平均在院日数45.7±31.8日)に分類した。調査項目は対象者のトイレ動作能力、退院後の医療処置の有無、問題行動の有無、コミュニケーションの可否、介護者の性別と健康であるか否か、介護を代われる者の有無、入床時の在宅復帰の意向の有無をカルテより後方視的に抽出した。各調査項目について群間比較する為にX2検定を実施した。統計解析はR2.8.1を使用し、有意水準を5%とした。
【結果】
調査項目において介護者が女性(在宅群71%、非在宅群29%)、入床時に在宅復帰の意向がある(在宅群85%、非在宅群:15%)であり、在宅群で有意に出現した。また対象者のトイレ動作が全介助(在宅群32%、非在宅群68%)、退院後に医療処置がある(在宅群33%、非在宅群67%)、問題行動がある(在宅群22%、非在宅群78%)、コミュニケーション不可(在宅群31%、非在宅群69%)であり、非在宅群で有意に出現した。介護者の健康、介護を代われるものの有無は有意差が認められなかった。
【結論】
トイレ動作要介助者における在宅復帰に関する要因として、トイレ介助に抵抗が少ないとされている介護者が女性であることや、入床時より在宅復帰の意向が示されていることが認められた。一方、阻害要因として対象者の身体状況に関する項目に認められたが、介護力では有意差が認められなかった。先行研究では在宅復帰の意向は、早期から介護者が日常生活での介助の必要性を理解していることが重要であると報告されている。早期から予測される対象者の身体状況と介護者の意向を明確にとらえていくことが在宅復帰を支援していくうえで必要であることが示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は承諾を得たうえ,ヘルシンキ宣言を遵守し実施した。対象者または家族には口頭にて本研究の目的と内容の説明を行い同意を得た。