【一般講演】 開発機械／ 岩盤工学／ 資源経済と社会システム／ 資源開発技術

[2K0201-11-04] （学生発表：修士課程）　全波形解析を用いた貯留層内流体流動の推定

○石月 綾音¹、三ケ田 均¹、武川 順一¹ (1. 京都大学)

司会：児玉淳一 (北海道大学)，安達毅 (秋田大学)

キーワード：受動的地震探査法、貯留層モニタリング、全波形逆解析

近年，石油生産の現場において受動的地震波探査法への注目が集まっている。本手法は幅広い現場で利用されており，石油生産に伴う微小振動を用いることで，貯留層内の流体流動部が推定できることも示唆されている。著者らの研究グループでは，流体流動に伴う微小振動を用いた受動的地震波探査法について，シミュレーションを用いて有効性を評価している。これまでの研究により，ポアスロートを流体が流れる際に発生する微動を地上で観測することで，そのポアスロートの位置を推定できることが確かめられた。しかしながら，貯留層内の流速・流動方向といった流体挙動に関する情報を取り出すことは難しい。そこで本研究では，観測された波形データから流体流動方向を抽出することを試みた。差分法により流体流動に起因する地震動の人工データを作成し，得られた波形データに対して全波形逆解析を施し震源のモーメントテンソルの時間変化を推定した。さらに最小二乗法を用いてポアスロートの体積変化と向き，すなわち流体の流路方向を求めた。その結果，誤差の少ない推定結果が得られたことから，受振データから流体流動に関する情報を取得できる可能性が示された。