【若手・一般ポスター発表ショート講演】環境・リサイクリング分野

[1105-25-09] (学生発表：修士課程)製鋼スラグから合成された複合金属水酸化物のSe(VI)除去能におよぼす酸浸出条件の影響

○伊良原 創¹、高岡 賢治¹、松岡 光昭¹、村山 憲弘¹ (1. 関西大学)

司会：芳賀一寿（秋田大学）

キーワード：アニオン除去材、製鋼スラグ、廃水処理

本研究は、製鉄所内の鋳造プロセスで発生するMg分に富む製鋼スラグを出発原料に用いて、水溶液中の希薄なSe(VI)を除去するための陰イオン除去材の合成を試みたものである。ハイドロタルサイトやハイドロカルマイトに代表される層状複水酸化物を主成分とする複合水酸化物系の陰イオン除去材を合成する方法は、塩酸で製鋼スラグを浸出させる工程と、スラグ浸出液にアルカリを添加して金属水酸化物を沈殿させる工程から構成される。スラグの塩酸浸出条件、ならびに浸出液組成に応じて決定される沈殿pHが、Se(VI)除去能に直結する生成物の化学組成や結晶構造を支配する鍵因子である。
本研究では、製鋼スラグの塩酸浸出に対して、塩酸濃度や浸出時間を変化させて、浸出液中に含まれる様々な金属イオンやSi分の含有量を調べた。Si含有量が異なるいくつかの浸出液を原料に用いて、様々な沈殿pHにて複合水酸化物の合成を行った。沈殿反応にて得た生成物の化学組成や結晶構造などを調査した。合成された生成物を用いて、モデル物質であるSe(VI)の希薄水溶液からの除去能について簡易評価を行った。得られた一連の研究結果を報告する。