【若手・一般ポスター発表ショート講演】プロセス・素材分野 (2)

[1306-24-11] (学生発表：修士課程)イオン結晶の焼成による多孔質酸化イリジウムの作製と酸素発生触媒への応用

○舟木 麟太郎¹、松本 和也¹、片桐 洋史²、寺境 光俊¹ (1. 秋田大学、2. 山形大学)

司会:安田 幸司(京都大学),松浦 宏行(東京大学）

キーワード：水素製造、酸化イリジウム、イオン結晶、資源循環、酸素発生触媒

水素は今後の持続可能社会の実現に必要なエネルギー資源であるが、そのほとんどは、CO₂の発生を伴う化石資源の蒸気改質によって生産されており、よりクリーンな水素製造法の開発が急務である。水電解による水素製造法は、太陽光・風力といった自然エネルギーと組み合わせることで、CO₂の発生を一切伴うことなく水素を生産できる優れた技術である。しかし、水電解システムの応用における課題として、酸素発生反応に用いる触媒の開発が非常に難しいことが挙げられる。本研究ではこの酸素発生触媒として、簡便に作製可能かつ、リサイクル性の高い多孔質の酸化イリジウム触媒を提案する。当研究室では塩酸溶液中でイリジウムとパラフェニレンジアミンがイオン結晶を形成することを利用し、イリジウムを選択的に回収する技術を開発している。得られるイオン結晶は焼成することで有機成分が分解し、簡便に多孔質酸化イリジウムが作製可能であった。作製した多孔質触媒は酸性水溶液における酸素発生反応に対し、高い触媒活性を示した。また、この触媒は酸浸出後にイオン結晶形成によるイリジウム選択回収、焼成による再触媒化が可能であり、資源循環と触媒の高性能化の両立を達成した。