【一般講演】 湿式素材プロセッシング

[2201-07-07] 鉱石中湿式脱リンを想定したオキシ酸化鉄のリン吸脱着挙動解析

○篠田 弘造¹、豊島 展¹、村尾 玲子²、鈴木 茂¹ (1. 東北大学、2. 日本製鉄株式会社)

司会:安達謙(東北大学）

キーワード：ゲーサイト、固体表面へのリン酸イオン吸着、固体表面からのリン酸イオン脱着、脱着率

リン品位上昇による鉄鉱石劣質化対応に向けて、塩基性水溶液による脱リンプロセスを検討するために、鉄鉱石の主成分でありリンが多く共存するオキシ水酸化鉄（ゲーサイト）のリン吸脱着挙動を調べた。鉄鉱石中ゲーサイトの結晶構造中Feの一部Al置換を考慮し、置換率の異なるAl置換ゲーサイト粒子を合成した。そのリン吸着量および脱着率を、リン酸溶液への浸漬によるリン吸着と塩基性脱離液への浸漬によるリン脱着処理により求めた。
Al置換ゲーサイト合成には共沈法を適用した。Al置換率の定量は、酸溶解液に対するICP-AES分析および粉末X線回折測定による格子定数決定により行った。リン吸着量、脱着処理後の残留量を、粒子試料の酸溶解液に対するICP-AES分析値からリン脱着率を求める。結果、Al置換率とリン吸着量との間に相関があり、脱着処理後の粒子表面のリン残留量はAl置換率によらないことがわかった。また、鉄鉱石中に含まれるAl, Siを含む化合物であるカオリナイトの溶出やリン吸着など、ゲーサイトからのリン脱着に及ぼす影響を調べ、その影響は極めて小さいことを確認した。