資源・素材2024(秋田)

講演情報(2024年8月7日付 確定版)

一般講演

【一般講演】環境 [9/10(火) AM 第3会場]

2024年9月10日(火) 08:45 〜 12:00 第3会場 (一般教育2号館 1F 103) (一般教育2号館 1F 103)

司会:淵田 茂司(東京海洋大学)、有馬 孝彦(北海道大学)

●環境:資源・素材プロセスの過程で排出される環境負荷物質の不動化技術,浄化材料,化学再生,モデリング,リスク評価および資源・素材プロセス技術を適用した環境保全に関する学術的議論を行う。

<発表時間20分中、講演15分、質疑応答5分/1件)>

11:00 〜 11:20

[1301-09-07] 坑廃水処理における硫酸および炭酸イオンのMn沈殿速度への影響

○加藤 聖也1[修士課程]、小原 義之2、川原 里紗2、淵田 茂司1 (1. 東京海洋大学、2. (株)日本海水)

司会:有馬 孝彦(北海道大学)

キーワード:坑廃水処理、地球化学モデル、XAFS、マンガン処理

坑廃水処理では,Mn(II)はMn(III)やMn(IV)に酸化させることで沈殿除去するが,その酸化速度は小さく難処理元素として扱われる。一般にMnを含む坑廃水には,硫化鉱(e.g. FeS2)の酸化溶解反応によって生じた硫酸イオン型と,炭酸塩(MnCO3)を主要鉱物とする稲倉石型マンガン鉱床由来の炭酸イオン型がある。これらの坑廃水には高濃度の硫酸あるいは炭酸イオンが共存するが,これらの陰イオンの影響によりMn(II)の酸化速度が小さくなることが報告されている。よってMnの沈殿効率が低下する可能性があるが,実際の中和処理系における陰イオンの影響については不明瞭である。本研究では,Mn濃度の高いA鉱山(北海道) (Mn(II) : 70 mg/L)を対象に模擬廃水を用いた中和処理試験を実施し,地球化学コードを用いた反応機構の速度論的解析とXAFSによる沈殿種分析の結果から炭酸イオンと硫酸イオンがMnの沈殿反応機構に与える影響を調べた。その結果,Mnに対して10倍のモル量で炭酸イオンを共存させた場合はMn(II)酸化速度が10倍程度,硫酸イオンを共存させた場合は1000倍程度小さくなった。溶存イオン種の熱力学平衡計算の結果から,陰イオンをリガンドとするMn(II)錯体の形成がMn(II)の酸化抑制因子となる可能性が示唆された。