日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[B] 生態学・行動学

2024年3月31日(日) 09:00 〜 11:15 B会場 (萩)

10:00 〜 10:15

[B-43] 異なる温度差の温度サイクルに対するタマネギバエの羽化の同調:温度位相反応曲線を用いた説明

◯宮崎 洋祐1、田中 一裕2、渡 康彦3 (1. 芦屋大・経営教育、2. 宮城学院女子大・一般教育、3. 芦屋大・臨床教育)

タマネギバエは地下2~20cmで蛹化し、温度変化に同調した概日時計によって早朝に羽化する。しかし、土中では深くなるほど温度変化は遅れ、最高温度と最低温度の差(較差)も小さくなる。本種は較差が小さいとき羽化時刻を早めた位相関係で温度サイクルに同調することで、土深に伴う温度変化の遅れに対応していることがこれまでの研究で示されてきた。この温度サイクルへの概日時計の同調がどのように行われているかを明らかにするために、概日時計研究で広く用いられる位相反応曲線の作成を試みた。25℃一定に維持した蛹を、さまざまな時刻(位相)で1回だけ12時間の26℃または29℃の高温、もしくは24℃または21℃の低温へさらし、羽化時刻の変化を調べた。そして、温度刺激を与えた位相に対して羽化時刻の変化をプロットすることで位相反応曲線を作成した。得られた結果から、概日時計には高温に反応して羽化時刻を遅らせる位相と早める位相があり、それらはそれぞれ低温に反応して羽化時刻を早める位相と遅らせる位相でもあることがわかった。また、温度の変化量が大きいほど羽化時刻の変化もより大きくなった。本発表では温度位相反応曲線を用いて、さまざまな較差の温度サイクルにタマネギバエの羽化のタイミングがどのように同調するかを考察する。