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[D-30] 飼育に依存しない発育速度パラメータの推定手法の検討
発生予察において,多くの害虫について発育零点と有効積算温度から世代数や発生時期を予測する手法が試みられている.予測のためのこれらのパラメータは,一般的に室内での飼育試験により推定される.しかし,飼育試験から得られたパラメータは野外での害虫の発育に必ずしも適用できるとは限らないこと,また,予測精度が悪い場合でもパラメータを補正する術がないこと,さらには,そもそも室内での飼育が困難な害虫種には適用できないといった問題がある.これらの問題を解決するために,野外の発生データと気温データから発育零点と有効積算温度の最適値を推定する手法を前回大会で報告したが,本手法は発育速度を直線的に説明する有効積算温度モデルにしか適用することができない.そこで,有効積算温度モデル以外の,発育速度を曲線的に説明する発育速度モデルにも適用可能にするために,本手法の機能拡張を試みた.具体的には,岩手県,宮城県,新潟県におけるフタオビコヤガのフェロモントラップデータについて,成虫の発生ピーク間の積算発育速度を目的変数として,その損失関数が最小となるパラメータを数理計画法で探索した.本講演では,パラメータの推定結果とその予測精度について報告する.