日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[D] 生理学・生化学・分子生物学

2024年3月31日(日) 09:00 〜 11:30 D会場 (白橿2)

10:15 〜 10:30

[D-39] タイリクヒメハナカメムシにおける化学感覚受容関連遺伝子の探索

◯飯田 菜生1、大橋 ひろ乃1、田中 啓介2、櫻井 健志1 (1. 東農大・農、2. 東情大・総情)

タイリクヒメハナカメムシ (Orius strigicollis)は、農業害虫であるアザミウマ類に対する生物農薬として利用されている。本種の農薬としての有用性を高めるため、嗅覚などの化学感覚を利用した行動制御法の開発が期待されている。本研究では、本種の化学感覚受容機構を理解するため、触角と口吻を含む頭部のde novo RNAseq解析による化学感覚受容関連遺伝子の探索を行った。その結果、嗅覚受容体(Olfactory receptor, OR)、味覚受容体、イオノトロピック受容体、匂い結合タンパク質ファミリーに属する遺伝子をそれぞれ75、24、20、5個見出した。次に、OR候補配列の分子系統解析をヒメハナカメムシ2種(0. laevigatus, O. insidiosus) と行ったところ、複数のオルソログの存在が示された。また、雌雄特異的なORを発現変動遺伝子解析により探索したが、発現量に有意な差があるOR候補はなかった。この原因として、頭部由来のRNAで解析を行ったため触角での発現量が正確に反映されなかったことが考えられる。現在、触角由来のRNAを用いて雌雄間での発現比較を進めている。本研究は本種の化学感覚受容関連遺伝子の初の報告であり、化学感覚受容機構の理解に寄与するものである。