[D] 生理学・生化学・分子生物学

[D-40] リアルタイムPCRを利用したセジロウンカの雌雄判別法

◯吉田 一貴¹、矢代 敏久¹ (1. 農研機構 植物防疫研究部門)

イネウンカ類の成虫は外部生殖器の形態によって雌雄の判別が可能だが、幼虫の場合、特に３齢以前の若齢期では形態の性差が乏しく、外部形態による判別は困難である。分子生物学的手法として、一方の性のみが持つ性染色体の配列に特異的なマーカーを作成し、PCRによって雌雄を判定する手法がある。しかしながら、この手法は性染色体がXO型の生物には適用することができない。イネウンカ３種のうち、性染色体がXY型であるトビイロウンカは、先行研究でY染色体に特異的なマーカーが開発されているが、XO型であるセジロウンカとヒメトビウンカについては分子生物学的手法による雌雄の判別方法が確立されていない。本研究ではセジロウンカを対象とし、雌雄間のX染色体の数（常染色体の数との比）の違いを利用した、リアルタイムPCRによる雌雄判別手法の開発を試みた。X染色体の配列に特異的なプライマーを設計するとともに、常染色体のコピー数を反映するためのプライマーとして、一般的に利用されているいくつかのリファレンス遺伝子をターゲットとしたプライマーを設計、選定した。複数の飼育系統および野外系統のサンプルを使用し、設計したプライマーが雌雄判別に利用可能であるか検証した。