The 84th Annual Meeting of the Entomological Society of Japan・The 68th AEZ annual meeting

Presentation information

Oral presentation

[D] Physiology, Biochemistry, Molecular biology

Sun. Mar 31, 2024 9:00 AM - 11:30 AM Site D (Shirakashi 2)

11:15 AM - 11:30 AM

[D-43] Cas9エンジニアリングが拓く成虫注射による昆虫ゲノム編集の新展開

◯Yu Shirai1, Takaaki Daimon1 (1. Kyoto University)

これまでの昆虫のゲノム編集は、初期胚への顕微注入法に大きく依存していた。近年、我々が、メス成虫への注射によってゲノム編集を可能にするDIPA-CRISPR法の開発に成功したことで、極めて簡便に、あらゆる昆虫でのゲノム編集が可能になった。しかし、ノックインの技術的な難易度は高く、実用レベルには至っていなかった。2018年に、サーコウイルス由来のPCVタグを融合させたCas9が、一本鎖DNAとの共有結合を介して、ノックイン効率を向上させることがヒト培養細胞において示された (Aird et al., 2018)。そこで我々は、このアプローチが成虫注射によるゲノム編集においても有効であるかどうかを検証するために、3段階のクロマトグラフィー精製によるCas9の内製化に取り組み、PCVタグを融合したCas9を作成した。甲虫を用いてこれをテストしたところ、タグ無しのものと比べて約5倍の極めて高いノックアウト効率を示した。また、ノックインについても、共有結合していないものと比べて約2.5倍の効率を示した。本講演では、Cas9エンジニアリングによって実現した、成虫注射による昆虫ゲノム編集の新しい展開について議論したい。