The 84th Annual Meeting of the Entomological Society of Japan・The 68th AEZ annual meeting

Presentation information

Oral presentation

[D] Physiology, Biochemistry, Molecular biology

Sun. Mar 31, 2024 1:30 PM - 2:30 PM Site D (Shirakashi 2)

1:45 PM - 2:00 PM

[D-45] キチン結合性をもつ弾性タンパク質:resilinの機能と架橋メカニズムの解析

◯Miyuna Hagiwara1, Toshiro Aigaki1, Takaomi Sakai1, Tsunaki Asano1 (1. Tokyo Met. Univ.)

昆虫は陸上環境への適応に際して、飛翔や跳躍といった移動手段を獲得してきた。これに関連し、翅基部や脚の関節にある弾性構造の主成分として、ポリマー化したレジリン(resilin)というキチン結合性タンパク質が1960年代初頭にすでに注目されていた。レジリンによる弾性構造は、昆虫の飛翔における羽ばたきによって生じる高周波振動がもたらす機械的ストレスの減衰や、跳躍における筋肉によって生じる物理的なエネルギーの蓄積に機能するとされている。キイロショウジョウバエ(D. melanogaster)で行ったRT-PCRでは、resilinは蛹期後期に強く発現していることから、主に成虫の体を構築する時期に作られると考えられる。そこでCRISPR/Cas9法によって、resilin変異体を作製したところ、羽化直後は翅を正常に動かせていたが、羽化後1日経過すると9割の個体が、翅が垂れてしまい動かせなくなる表現型を示した。また、これに関連し、翅基部の内部構造において筋肉、及びResilin分子を含む弾性構造の破損が観察された。加えて、脚による跳躍距離も半減していた。またResilinポリマー化について、鉄原子をポルフィリン環内に配位する酸化酵素をコードする遺伝子の関与を示唆する結果も得られた。