日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[D] 生理学・生化学・分子生物学

2024年3月31日(日) 13:30 〜 14:30 D会場 (白橿2)

14:00 〜 14:15

[D-46] スズメバチに含まれるキチナーゼ阻害剤の単離、合成と機能解明

◯笠原 駿輔1、権 来悟1、萩原 佳輔1、木村 将大2、加藤 学3、景山 心悟3、生田 智樹3、松野 研4、大野 修1 (1. 工学院大学先進工、2. 東京工科大学応生、3. (株)山田養蜂場、4. 安田女子大学薬)

哺乳類キチナーゼの一種であるchitotriosidase(Chit1)は、有効な治療法が少ないゴーシェ病患者等で酵素量の増加が認められる。したがって、Chit1阻害剤は上記疾患におけるChit1の役割の解明や治療薬開発に向けた重要な知見の獲得に繋がることが期待される。本研究では天然由来サンプルをスクリーニングし、キイロスズメバチとオオスズメバチのMeOH抽出物にそれぞれChit1阻害活性を見出した。両スズメバチのMeOH抽出物を精製し、Chit1を選択的に阻害するN-linolenoyl-L-phenylalanineを単離した。Dixon法によりN-linolenoyl-L-phenylalanineによるChit1の阻害様式が非競合阻害であることが判明した。次に、本化合物と25種類の誘導体を合成し、Chit1阻害活性を評価した結果、N-linolenoyl-N-methyl-L-phenylalanineが最も強いChit1阻害活性を示し、リード化合物と比べて6倍強力なChit1阻害活性を示した。本発表では、スズメバチ抽出液からのN-methyl-L-phenylalanineの単離や構造決定の過程、その他誘導体のChit1阻害活性評価について報告する。