日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[E] 毒物学・殺虫剤作用機構・抵抗性

2024年3月29日(金) 16:15 〜 16:45 E会場 (小会議室1)

16:15 〜 16:30

[E-12] 国内外におけるトマトキバガの薬剤感受性動向

◯真田 幸代1、秋月 岳1 (1. 農研機構植防研)

トマトキバガTuta absoluta(英名:Tomato leafminer)は南米原産の小型チョウ目害虫で、近年ヨーロッパ、アフリカ、アジアなど世界各地に分布を拡大している。本種は主にナス科作物(特にトマト)を食害し、地域によっては甚大な被害をもたらしている。アジアでは2009年にトルコで初確認された後、徐々に分布を拡大し、2016年に中国で確認された後、2021年10月には日本のトマト栽培ハウスで初確認された。その後、国内各地でフェロモントラップによる誘殺があり、2023年11月現在で37道府県に及んでいる。これまでのところ国内では生産物への大きな被害は報告されていないものの、日本国内の栽培品種、栽培体系に基づいた有効な防除対策の策定が急務である。原産および侵入地域の施設栽培トマトにおける本種の防除対策は、薬剤による防除が主流であり、世界各地の地域個体群において、幾つかの主要薬剤に対する抵抗性発達が報告されている。本講演では、これまでに報告された世界各地の地域個体群における主要薬剤の感受性の動向を総括するとともに、2021年に国内で採集したトマトキバガにおける、微量局所施用法による主要殺虫剤の薬剤感受性検定の結果を報告する。