日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[F] 生活史・分布

2024年3月29日(金) 13:30 〜 16:30 F会場 (小会議室2)

15:00 〜 15:15

[F-07] ナガウンカの1種Stenocranus pacificusの寄主植物、分布、および発生推移

◯松村 正哉1、矢代 敏久1、真田 幸代1 (1. 農研機構・植防研)

熱帯地域でトウモロコシの害虫として知られているナガウンカの1種Stenocranus pacificus (Kikardy)は、これまで沖縄県と熊本県で採集されているが、国内における生活史等は不明である。そこで、本種の寄主植物、分布、および発生推移について調査を行った。熊本県内の飼料トウモロコシ圃場では本種は確認できなかったが、ジュズダマで幼虫と成虫が確認できたことから、本種はジュズダマを寄主植物として発生していることがわかった。2023年10月に九州と四国でジュズダマですくい取り調査を行った結果、長崎、佐賀、福岡、熊本、鹿児島、及び愛媛の各県で本種の発生が確認された。発生密度は熊本県と鹿児島県で高かった。また、和歌山県の予察灯でも2023年10月に本種の誘殺が確認された。熊本県合志市に設置した水銀予察灯の調査から、本種は、6月下旬に初誘殺があり、その後、9~10月にかけて誘殺数が増加した。誘殺数の推移のパターンは、トビイロウンカのそれとよく似ていた。本種の越冬状況等は未調査であり、本種が毎年海外から飛来して発生するのか、あるいは九州や四国でも越冬可能かは不明である。国内におけるトウモロコシの被害リスク等も含めて今後解明する必要がある。