日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[F] 生活史・分布

2024年3月29日(金) 13:30 〜 16:30 F会場 (小会議室2)

15:30 〜 15:45

[F-09] 日長がハマスズの卵休眠と幼虫期間に与える影響

◯谷山 克也1、田中 一裕2 (1. 株式会社グリラス、2. 宮城学院女子大学)

小型のコオロギであるマダラスズとシバスズは、いずれも北部で1化性、南部で2化性を示す。幼虫発育に関わる光周期反応は、1化地帯では、両種とも短日型を示すが、2化地帯では種により異なる。マダラスズは中間型を、シバスズは短日型を示す。現在、コオロギ類の2化地帯での光周期反応として短日型と中間型のどちらが一般的なのかは明らかとなっていない。そこで、両種と同じヒバリモドキ科に属するハマスズ(Dianemobius csikii)を用いて、幼虫発育を制御する光周期反応を調査した。
本研究では、鳥取県から採集したハマスズを用いた。まず、採集した個体群が2化性を示すことを明らかにするため、幼虫および成虫を様々な日長条件で飼育、採卵し、卵の休眠率を調査した。その結果、卵の休眠率は16L8Dと15L9Dでは3%以下、14L10Dでは50%、12L12Dでは98%と短日になるにつれ上昇したことから、2化性であることが示唆された。
次に幼虫発育に関わる光周期反応を明らかにするため、幼虫を様々な日長条件で飼育し、羽化までの日数を調査した。幼虫期間は12L12Dから15L9Dにかけて長くなり、16L8Dで再び短くなった。上記の結果より、ハマスズの2化個体群は、中間型の光周期反応を示すことが明らかとなった。