日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[G] 系統・生物地理・進化・種分化

2024年3月31日(日) 09:00 〜 11:30 G会場 (小会議室8)

10:15 〜 10:30

[G-27] アリ植物共生の東南アジア産シリアゲアリ類にみられる系統多様化と形態進化

◯細石 真吾1、Rosli Hashim2、Heng Sokh3 (1. 九大熱研センター、2. マラヤ大学、3. カンボジア林野庁)

シリアゲアリ属の多くの種ではワーカーは11節の触角をもつが、10節をもつ種も知られている。Crematogaster borneensis種群は10節の触角をもち、アリ植物マカランガと共生関係をもつことが知られている。同種群は弱い体サイズ多型を示し、スンダ地域に分布している。近年インドシナ半島から発見されたC. indosinensisは10節の触角をもつが、強い多型を示し、自由生活者であると思われる。系統解析によるとC. indosinensisC. borneensis種群と姉妹関係になることがわかっている。一方、スラウェシのアリ植物ネオナウクレアと共生関係をもつシリアゲアリ属の一種も10節の触角をもち、弱い多型を示す。分子系統解析の結果、スラウェシのアリはC. indosinensisとクレードを形成し、C. borneensis種群と姉妹関係になることがわかった。分岐年代推定によると、2種群の共通祖先は1500万年前に出現したと思われ、C. borneensis種群は400万年前、C. indosinensisとスラウェシのアリは1000万年前に分岐したと推定された。本講演では、アリ植物共生のシリアゲアリ類の多型の形態進化と2種群の種分化様式について考察する。