日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[G] 発生学・遺伝学

2024年3月31日(日) 13:30 〜 14:45 G会場 (小会議室8)

14:30 〜 14:45

[G-36] 高効率遺伝子組換えを利用したフタホシコオロギ生体内におけるエンハンサーの時空間的活性の調査

◯大出 高弘1 (1. 京大院・農)

昆虫のゲノム機能を理解するためには、各遺伝子の時空間的発現を制御するエンハンサーの機能解明が不可欠である。生体内におけるエンハンサーの時空間的活性の調査方法として、蛍光タンパク質などを用いてその活性を可視化するレポーターアッセイが有効である。しかし、この方法を効率的に運用する上では、安定的な遺伝子組換え法及び適切なプロモーター選定が必要となるため、昆虫における実用はごく一部の完全変態昆虫に留まってきた。本研究は、より幅広い系統でエンハンサーの機能解明を進めるため、不完全変態昆虫であるフタホシコオロギにおいて、レポーターアッセイ法の確立を目指した。この目的のため、hyperactive piggyBac transposaseによる高効率な遺伝子組換えを利用して、ATAC-seqにより推定されたエンハンサー候補配列を、複数の異なるプロモーター配列と組み合わせてゲノム中に導入した後、レポーター遺伝子の発現活性を調査した。その結果、既知の遺伝子発現パターンを再現するフタホシコオロギゲノム中の新規なエンハンサー、及び同種でのレポーターアッセイに適したプロモーター配列の特定に成功した。本研究により、完全変態亜節以外で初めてとなる、実用的なエンハンサーの時空間的な活性調査法が確立された。