日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PG02] ポスター発表(一般B:コアタイム2)

2024年3月30日(土) 12:30 〜 13:30 桜(一般) (桜)

[PG02-22] 有機ネギ栽培における主要害虫ネギコガの密度抑制要因

◯北村 登史雄1、Wari David1 (1. 農研機構 西日本農業研究センター)

中山間地域において有機ネギ栽培を拡大するためには虫害の抑制が重要である。有機ネギ栽培における主要害虫と土着天敵を明らかにするために2021年から2023年にかけて神石高原町現地圃場において昆虫相の調査を行った。調査はネギ葉上の見取り及びピットフォール法で行った。調査したネギ圃場では3ヶ年を通じて同様の傾向でネギコガの発生が多く、8月中旬のピーク時には株あたり約2頭以上であった。ネギアザミウマ、ネギアブラムシの発生は少なく、8月下旬から9月中旬にかけてネギハモグリバエの発生が見られた。天敵では一般的に有機圃場ではアシナガクモ類などの造網性のクモ類の発生が多いとされるが、地上徘徊性のコモリグモ類やゴミムシ類の発生が多かった。調査圃場における重要害虫であるネギコガに対する土着天敵の探索を行った。圃場より蛹を採取し、実験室内で飼育し羽化するネギコガおよび蛹寄生蜂を観察した。蛹より羽化した寄生蜂はコナガチビヒメバチ1種のみであった。定植後から本寄生蜂の寄生は見られたが、その数はわずかであり、ネギコガの密度が高くなる8月下旬から蛹寄生蜂の寄生率の上昇が見られ、10月上旬には最大で50%程度になった。蛹寄生蜂は有望な土着天敵ではあるが、ネギコガの密度抑制時期を早める方策を講ずる必要ある。