日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム2)

2024年3月29日(金) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS01-20] 中性河川と酸性河川の沿岸における地表性節足動物相の比較と環境要因の影響

◯山田 遼1、大寺 真菜2、金尾 太輔1 (1. 山形大・理、2. 山形大院・理工)

高温かつ酸性・塩基性の温泉が湧出し、周囲の土壌や河川に影響を及ぼす火山生態系には、特殊な生物相が見られる。しかし、火山生態系における生物学的研究は水中や土壌中の生物を対象とするものが多く、地表性節足動物に関する知見は限られる。山形県の蔵王山は多数の温泉が湧出する活火山であり、酸性河川のニ渡川と中性河川の馬見ヶ崎川は、共に蔵王山を水源とする。昨年度より実施している調査により、二渡川沿岸の標高が異なる複数地点における地表性節足動物相が明らかになりつつある。そこで本研究では、中性河川の馬見ヶ崎川において地表性節足動物相を調査し二渡川のものと比較すると共に、これらの地表性節足動物相に影響を与える環境要因について調べた。両河川沿岸で4–10月に、石めくりにより節足動物を採集し、土壌の温度と酸性度を計測した。また、調査月・標高・温度・酸性度が、地表性節足動物の個体数・種数・多様度・種構成に与える影響をPERMANOVAで解析した。馬見ヶ崎川の調査では、71種196個体の節足動物が得られ、甲虫目が優占していた。これはニ渡川の最も下流の調査地点と類似していた。解析の結果、節足動物全体では標高・温度・酸性度が、各地点の群集組成の類似度に対して有意に影響していることが示された。