[PS01-50] コクヌストモドキ類２種における武器形質の有無が種間相互作用に及ぼす影響
繁殖に関する形質が類似している異種間で互いの繁殖に干渉することを繁殖干渉といい、植物から動物に至るまで幅広い分類群において報告されている。繫殖干渉は、種内での交尾機会を減少させるため適応度の低下を導く。近年の繁殖干渉に注目した研究の多くは、異種異性間での相互作用に焦点を当てているが、性選択は異性間だけでなく同性内においても生じ雄の武器形質などの進化を駆動する。しかし、武器形質が繁殖干渉へ及ぼす影響を調べた研究は無い。そこで本研究では、オオツノコクヌストモドキGnatocerus cornutus（以下オオツノ）と、その近縁種のコクヌストモドキTribolium castaneum（以下コクヌスト）を用いて二種間で繁殖干渉が生じるかを検証した。両種とも穀物貯蔵庫内に生息しており、オオツノの雄のみ雄間闘争に使用される武器形質を持つ。実験では同種の雌雄個体に加えて異種の雄個体を加えたときの交尾行動、産卵数及び孵化幼虫数への影響を調べた。その結果、オオツノがコクヌストに対して行う闘争行動によって、コクヌストが一方的に負の影響を受けることが明らかとなった。種内での同性内選択によって進化した武器形質の存在が、異種との繁殖干渉において大きな影響を与えている可能性が示唆された。