日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS02] ポスター発表(学生B:コアタイム2)

2024年3月30日(土) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS02-106] ミヤコカブリダニのゲノム全塩基配列解読とピリダベン抵抗性因子の推定

◯武田 直樹1、新井 優香1、片岡 孝介2、由良 敬3,4、白藤(梅宮) 梨可5、N.A. Ghazy6、森 光太郎6、刑部 正博7、日本 典秀7、鈴木 丈詞1 (1. 農工大院・BASE、2. 早稲田大・総合研究機構、3. 早稲田大・先進理工、4. お茶の水女子大・ライフサイエンス、5. 帯広畜産大・原虫病研究センター、6. 石原産業中央研究所、7. 京大院・農)

殺虫剤抵抗性の発達リスクが高いハダニ類に対し,捕食性天敵であるカブリダニ類は生物的防除資材として半世紀以上利用されてきた.しかし,一般的にハダニ類と比較してカブリダニ類は殺虫剤に対する感受性が高く,カブリダニ類と殺虫剤との併用は困難である.そのため,殺虫剤抵抗性のカブリダニ類の作出は,ハダニ類のIPM体系を推進する上で重要である.本研究では,ピリダベン抵抗性が判明したミヤコカブリダニ(ミヤコ)のゲノム全塩基配列の決定し,抵抗性因子を推定した.ロングリードとショートリードのシーケンスデータを組み合わせたハイブリッドアセンブルを実施し,連続的かつ高精度なゲノムを取得した.ゲノムサイズは179.6 Mbと推定され,既報のカブリダニ2種のそれと同等であった.ピリダベンを含むミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤(METI)の結合部位は,PSSTと49kDaサブユニット間に存在する.そこで,ミヤコの抵抗性と感受性系統において,これらの配列を比較した.その結果,抵抗性系統のPSST ではV94M,49kDa ではM190VとF193Lにおいて,それぞれアミノ酸置換が生じていた.さらに,ミヤコの複合体Iの立体構造モデルを作製し,これら置換部位は立体構造上において近傍に位置していることも判明した.