日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS02] ポスター発表(学生B:コアタイム2)

2024年3月30日(土) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS02-72] 農業害虫アブラムシの防除における捕食者(ナミテントウ)と寄生者(アブラバチ)の併用の可能性

◯土井 具汰1、平岩 将良2、石若 直人1、長野 光希1、早坂 大亮2 (1. 近畿大・農・院、2. 近畿大・農)

農業害虫のアブラムシに対して、従来、化学的防除が行われてきたが、非標的生物保全の観点などから、天敵生物を用いた生物的防除が注目されている。アブラムシに有効な天敵として、テントウムシ(捕食者)やアブラバチ(寄生者)が挙げられる。現状、両種は単独での使用が主流で、テントウムシが寄生蜂に寄生されたアブラムシ(宿主)も捕食する懸念から、併用は推奨されていない。しかし、併用により二次寄生蜂による被害軽減などにつながる可能性が期待できる。そこで、捕食者が宿主を捕食しない条件を解明できれば、併用の際に宿主が捕食されることで生じる防除効果の低下の回避につながると考え、事前に、寄生されていないアブラムシ(健全個体)と宿主に対する捕食者(ナミテントウ)の捕食選択試験を行った。その結果、宿主が変色すると、ナミテントウは健全個体を選択的に捕食した。これは、アブラバチを放飼し、宿主の変色後にナミテントウを放飼することで併用できる可能性を示唆するものであった。しかし、この研究は、各生物を1個体ずつ供試したのみで、実環境に外挿するには不十分といえる。そこで本報では、小型容器に疑似的に実環境を再現し、両天敵を併用したことによる効果と、それに伴う植物の状態を調査した結果の一部を紹介する。