日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

小集会

[W04] 「縁尋機妙・昆虫生態学の牽引者から学ぶ」(3)大崎直太さんと愉快な仲間達

2024年3月29日(金) 18:30 〜 20:00 D会場 (白橿2)

世話人:安田弘法、金子修治

19:10 〜 19:35

[W04-03] 行政施策と経営を導く昆虫生態学

◯坂田 宏志 (株 野生鳥獣対策連携センター)

私は昆虫生態学で学位と職を得ましたが、それは中断してしまい、大型哺乳類を管理する行政施策に携わったり、会社を経営するようになりました。その時、私には虫の研究ぐらいしか取り柄はなかったのですが、それが施策立案や経営に取り組む力になりました。いま、昆虫生態学は施策立案や中小企業経営のための学問かとさえ思えます。
 何が力なのかですが、まず、独創的で面白い研究を目指すことが「大崎先生と愉快な仲間達」の価値観でした。独創性とある意味での「面白さ」は、実社会での課題解決には不可欠です。また、独立系スタートアップ企業には必要な芯です。これを自分の中に準備できたことは大きいと思います。
 次に、教科書に書いてあることが当てにならない、人に聞くより自分で考え実行しないといけない、そんな虫の研究に自分の責任で取り組み完結することは、経営者の養成に向いていたと思います。
 そして、昆虫の適応戦略は施策と経営のヒントです。仲間達の研究の苦労と事例を知り、議論し合ったことで、私の引き出しが増えました。若い時期に虫の研究に没頭したことが、ビジネスの世界で貢献するための基礎になっていたようです。
 このような視点から、昆虫生態学の教えが活きた局面を紹介し、また違った虫の研究の価値を伝えられたらと思います。