15:35 〜 15:45
[O-13-3] 人工膝関節全置換術後の可動域は術前可動域に影響される
キーワード:人工膝関節全置換術、可動域
【背景と目的】
人工膝関節全置換術(以下TKA)後の膝関節可動域は、術前の膝関節可動域や術後リハビリテーションなどに影響を受けると報告されているが、一定の見解が得られていない。
今回我々は、変形性膝関節症(以下OA)患者に絞り、術前の膝関節可動域が術後可動域に影響を及ぼすか否かを調査した。
【方法】
調査対象は、2016年1月から2020年12月の間に、TKA(Medial parapatellar incision、Smith & Nephew社:大腿骨コンポーネントLEGION PS High Flex、脛骨コンポーネントGenesisII使用)を施行した148例173関節である(男23例、女125例、手術時平均年齢75歳)。
これら症例に対して、術前、術後1か月、術後1年の関節可動域(膝屈曲/伸展角度および関節可動範囲)を後ろ向きに調査した。各時点での関節可動域に有意差があるか否かを、対応のあるt検定を用いて検討した。有意水準は5%未満とした。
【結果】
膝関節可動域(膝屈曲/伸展角度および関節可動範囲)はそれぞれ、術前:113.4±16.7°/-11.6±9.2°/101.8±7.6°、術後1か月:110.9±17.1°/―2.1±4.2°/108.8±12.9°、術後1年:112.5±14.7°/―3.5±5.3°/109±9.5°であった。
屈曲角度は術前、術後1ヵ月、術後1年において有意差を認めなかった。伸展角度と関節可動範囲は術前と比較して術後1か月、術後1年とも有意に改善していた。術後1か月と術後1年では変化がなかった。
【考察】
今回我々はOA患者のみに対象をしぼり、調査を行った。OA患者では、関節可動範囲は術後有意に改善しており、これは伸展角度が改善するためであり、屈曲角度の改善はなかった。先行研究において稲田らは、術後の屈曲角度は、術前の屈曲角度に影響を受けると報告しており、我々も同様の結果であった。これは、術前の膝伸展制限は術中の関節内操作で改善が得られるが、屈曲制限については、関節内の問題よりも関節外、特に大腿四頭筋などの伸展機構の短縮に起因するものと推測される。
【結論】
TKAの術後屈曲角度は、術前屈曲角度に影響される。
人工膝関節全置換術(以下TKA)後の膝関節可動域は、術前の膝関節可動域や術後リハビリテーションなどに影響を受けると報告されているが、一定の見解が得られていない。
今回我々は、変形性膝関節症(以下OA)患者に絞り、術前の膝関節可動域が術後可動域に影響を及ぼすか否かを調査した。
【方法】
調査対象は、2016年1月から2020年12月の間に、TKA(Medial parapatellar incision、Smith & Nephew社:大腿骨コンポーネントLEGION PS High Flex、脛骨コンポーネントGenesisII使用)を施行した148例173関節である(男23例、女125例、手術時平均年齢75歳)。
これら症例に対して、術前、術後1か月、術後1年の関節可動域(膝屈曲/伸展角度および関節可動範囲)を後ろ向きに調査した。各時点での関節可動域に有意差があるか否かを、対応のあるt検定を用いて検討した。有意水準は5%未満とした。
【結果】
膝関節可動域(膝屈曲/伸展角度および関節可動範囲)はそれぞれ、術前:113.4±16.7°/-11.6±9.2°/101.8±7.6°、術後1か月:110.9±17.1°/―2.1±4.2°/108.8±12.9°、術後1年:112.5±14.7°/―3.5±5.3°/109±9.5°であった。
屈曲角度は術前、術後1ヵ月、術後1年において有意差を認めなかった。伸展角度と関節可動範囲は術前と比較して術後1か月、術後1年とも有意に改善していた。術後1か月と術後1年では変化がなかった。
【考察】
今回我々はOA患者のみに対象をしぼり、調査を行った。OA患者では、関節可動範囲は術後有意に改善しており、これは伸展角度が改善するためであり、屈曲角度の改善はなかった。先行研究において稲田らは、術後の屈曲角度は、術前の屈曲角度に影響を受けると報告しており、我々も同様の結果であった。これは、術前の膝伸展制限は術中の関節内操作で改善が得られるが、屈曲制限については、関節内の問題よりも関節外、特に大腿四頭筋などの伸展機構の短縮に起因するものと推測される。
【結論】
TKAの術後屈曲角度は、術前屈曲角度に影響される。