第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2023年10月9日(月) 14:50 〜 15:30 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-051-C] サクビトリルバルサルタン投与後、電話による服薬フォローで適正な血圧コントロールに寄与できた一症例

狩野 佑実, 小溝 優子 (フロンティア薬局 宝塚店)

【目的】
サクビトリルバルサルタン(本剤)は、慢性心不全に加え高血圧症の適応が承認され、高齢者への処方も増加しているが、高齢者においては低用量から開始するなど慎重に投与することとされている。今回、高齢かつ腎機能低下患者へ本剤追加後、電話による服薬フォローアップ(TF)で低血圧症状を聴取し、早期に介入できた症例を経験したので報告する。
【症例】
80代男性、高血圧症、慢性心不全、中等度から高度腎機能低下(eGFR:43.32mL/min/1.73m2)の患者。高血圧に対してアムロジピン5mg/日、アゾセミド15mg/日を朝食後に服用中のところ、X年10月、家庭血圧が150~170/70~80mmHgに上昇した為、本剤100mg/日が朝食後で追加された。患者背景より低用量での開始は妥当と判断したが、過度の血圧低下に注意が必要と考え介入を開始(Day1)。Day9のTFにて、7・21時の家庭血圧は110~120/60~70mmHgだが、デイサービス利用9時頃の収縮期血圧は78mmHgで、立ち眩みやふらつき症状ありと聴取。この情報を医師と共有し、治療方針を協議した結果、本剤が中止となった。Day13他科受診後来局、家庭血圧が160/80mmHgへ上昇と聴取したため受診勧奨。医師へトレーシングレポートを提出し、本剤再開の必要性と、9時頃の血圧低下はTmaxが影響していると考え夕食後への用法変更を提案。Day14受診時、本剤100mg/日が夕食後で再開となり、Day22のTFにてデイサービス利用時の収縮期血圧は110mmHgで、低血圧症状なしと聴取。その後、家庭血圧135/85mmHg以下で血圧安定維持。
【考察】
本症例では、TFの実施によって副作用の兆候を早期発見することにつながり、その情報をもとに医師と協議した結果、早期対応に寄与できた。このことから、服薬期間中のフォローアップは、医師の診断の一助になるのではないかと考える。今後は、フォローアップで得られた情報がどれだけ医師の診断に寄与できているのか、さらに検証していきたい。