第17回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(ポスター)

一般演題(ポスター)Cグループ

2023年10月9日(月) 14:50 〜 15:30 ポスター会場 (2号館3階 会議室231/会議室232+233/会議室234)

[P-177-C] 調剤薬局での小児脂肪肝患者への栄養相談で改善が見られた事例

川島 花菜1, 河本 友子1, 鈴木 一豊1, 新井 沙恵子2 (1.(株)ハートフルメディカル エース在宅支援薬局池上通り店, 2.エース薬局 大森店)

【諸言】
近年、小児の肥満が増加傾向にある。幼い頃から肥満となり、乱れた生活習慣を継続することで合併症のリスクが高まり成人肥満やメタボリックシンドローム、生活習慣病などの罹患率が増大する。
これらのリスクを軽減するため早期に発見し、小児の頃からケアしていくことが社会的な課題である。
今回は当薬局で初めて小児脂肪肝患者への栄養相談を実施し、改善が見られたため報告する。
【症例】
12歳男児
主訴:体調不良
診断:脂肪肝(診断時X年X月)
介入前(X年X月-1か月)
身長:146.3cm
体重:47.3kg(肥満度21%:軽肥満)
【問題点】
間食が多く、飲料からも常にカロリーを摂取している。
偏食によって栄養素が大きく偏り、野菜・肉・魚類などが不足している。
【方法】
月1回の食事記録を用いた栄養相談の実施。
消費エネルギーだけでなく成長分のエネルギーも考え摂取エネルギーの目安を1950kcal程度とし、「減量」ではなく「食生活の改善」を目標とした。
【結果】
毎日水分補給のため飲んでいたスポーツ飲料(500ml:95kcal)と、炭酸飲料(350ml:157kcal)の量を抑え毎日250kcalを減らした。
2600kcalを超えることもあった摂取エネルギーも、平均2000kcal程度へと改善した。
X年X月+7か月後には身長151cm、体重45.2kgへと変化し、肥満度が正常範囲内の6.1%へと変化した。
【考察】
今回の12歳男児において食生活が見直され、栄養相談を継続でき、さらに肥満度改善が達成できたことから、薬局における小児に対する栄養相談は有効であったと考えられる。
患者と信頼関係を構築し、一緒に目標を設定したことが行動変容と栄養相談継続の意欲向上へつながった。
地域包括ケアシステムの中で、薬局が健康について気軽に相談できる場所となることは、早期の段階で行える小児へのアプローチとしても貢献できると考えられる。