第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[2P-2] ポスター2(2P-38ー2P-88)

2021年6月17日(木) 14:45 〜 16:45 ポスター会場2

[2P-50*] サンゴ由来レクチンのウサギ赤血球に対する反応の解明

上村 亮介1, 古賀 萌子1, 外山 諒1, 海野 英昭1, 畠山 智充1, 郷田 秀一郎1,2 (1.長崎大院・工・総合工, 2.創価大・理工)

サンゴの一種であるハイマツミドリイシ(Acropora millepora)の2つの遺伝子、AML36及びAML49は、その発生過程において遺伝子発現レベルが上昇することが報告されている。この遺伝子がコードするタンパク質は、ナマコの一種であるグミ(Cucumaria echinata)由来溶血性レクチンCEL-IIIにアミノ酸配列相同性を示す。CEL-IIIは、ガラクトース/N-アセチルガラクトサミンに糖特異性を示し、ウサギ赤血球に対し溶血活性を示す。AML36及び49の機能解明のため、大腸菌を宿主に用いて組換えタンパク質として生産し、赤血球との相互作用を解析した。AML36及び49はHis-tag融合タンパク質として生産させところ、大腸菌体内で封入体として得られたため、塩酸グアニジンによる可溶化と、希釈による変性剤濃度の低下による巻き戻しを行った。巻き戻し後のAML36, 49はNi-NTA Affinity Chromatographyによって精製した。得られたタンパク質をウサギ由来赤血球と混合させたところ、AML36では赤血球凝集活性が確認され、AML49では赤血球凝集、溶血ともに活性は確認されなかった。AML36, 49はCEL-IIIにアミノ酸配列相同性を示すが、タンパク質のC末端側でアミノ酸鎖の延長が見られることから、C末端が赤血球凝集・溶血活性の違いに影響していると考えられた。そこで延長したC末端を切除した変異体を作成し、活性測定を行った。その結果、C末端を切除したAML36変異体は、赤血球溶血活性を示した。これらのことから、C末端部分がAMLの機能に大きく影響を与えていると考えられた。