日本地震学会2019年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(2日目)

一般セッション » S07. 地球及び惑星の深部構造と物性

S07P

2019年9月17日(火) 17:00 〜 18:30 P会場 (時計台国際交流ホールII・III)

17:00 〜 18:30

[S07P-01] GHz-DAC音速法による核マントル物質のP波速度、S波速度の同時測定の試み

*米田 明1、小林 真一郎2、鎌田 誠司2 (1. 岡山大惑星研、2. 東北大理)

DACで加圧された試料の弾性測定法としてレーザー光を用いるブリルアン散乱法が広く用いられてきたが、①不透明試料の測定ができない、②高圧下で試料のP波ピークがダイヤモンドのS波ピークに埋もれてしまう、等の問題がある。ブリルアン散乱法の欠点を解決するためにGHz-DAC法の開発を2011年頃から開始した。紆余曲折を経て、2017[J1] 年にDAC中試料の音速測定に成功した[1]。今回、これまでの開発状況を紹介するとともに、今後の研究の展望に力点をおいてポスター発表を行う。
図1はGHz-DAC音速法の概念図である。バッファロッドをアンビル背面に押し付けて、GHz超音波を試料部へと伝達する。

本構成の実験システムでKClとハワイ産のオリビンのP波速度測定を実施した。P波シグナルや試料長の評価法については発表にて詳細を説明する。
P波測定と並行して、S波バッファロッドの開発も行った。斜め入反射する弾性波のP-S変換現象を応用している。図2に立方晶のYAG結晶で作成したS波バッファロッド
の製作過程を示した。既にDACセルからのS波シグナルも確認できており、GHz法によるVP,VS同時測定の展望が開けた。

今後[J1] は、GHz音速法の強みを活かし、以下に示すようなブリルアン散乱法では不得手な鉄含有試料の測定を行なっていく。

(1)20 GPaまでの純鉄

(2)50 GPaまでの含鉄ブリッジマナイト。

(3)100 GPaまでの高Fe数フェロペリクレース

(2,3)では鉄の高スピン低スピン転移領域でのGHz超音波測定を実施する。

 本研究は大学院生の小林による貢献が大きかった。若手の新鮮な感覚はGHz開発において重要な役割を果たしている。今後も大学院生と協力して、GHz法研究を迅速に進展させていきたい。

文献[1]高圧力の科学と技術(日本高圧力学会誌)29巻2号(2019)