日本地震学会2020年度秋季大会

講演情報

B会場

一般セッション » S09. 地震活動とその物理

[S09]AM-2

2020年10月30日(金) 10:30 〜 12:00 B会場

座長:吉田 圭佑(東北大学)、座長:西川 友章(京都大学防災研究所)

11:00 〜 11:15

[S09-14] 応力蓄積と破壊伝播の時間スケールの競合によるセルオートマトンモデルのイベント長期化とスケーリング

〇福田 孔達1、波多野 恭弘2、望月 公廣1 (1.東京大学地震研究所、2.大阪大学理学研究科宇宙地球科学専攻)

普通の地震の破壊伝播スケールはプレート運動による応力蓄積の時間スケールに比べるととても小さい為、従来のシミュレーションにおいては、破壊伝播中のローディング効果は殆ど無視されてきた。しかし、継続時間が長く、ストレスドロップの小さいイベントである微動においてはこの効果を無視できない可能性がある。我々はこの効果を定量的に評価する為の物理パラメターとして"応力解放レートと応力蓄積レートの比"に注目した。このパラメターは"応力蓄積の時間スケールと破壊の時間スケールの比"と考えることもでき、破壊伝播中のローディング効果を表す。観測データを用いてこのパラメターのオーダー評価を行うと、普通の地震に比べて、SSE発生時の微動ではこのパラメターは5〜6桁大きくなった。したがって、我々は従来より地震の統計性質(GR則や大森則)をよく再現するとして知られているセルオートマトンモデルであるOlami-Frder-Christensen(OFC) モデルにこのパラメターを導入して新しいモデルを作成した。この新しいモデルでは、先のパラメターの増加に伴って、永続的な継続時間と共に、モーメントMoと継続時間Tに関するスケーリング関係としてMo∝Tという結果が得られた。このような結果は、破壊伝播と応力蓄積の時間スケールの競合が、普通の地震とは異なる微動のスケーリング特徴を引き起こしている可能性を示唆している。また、本発表ではこのパラメターの統計分布への影響についても紹介する。