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[S02-12] Development of seafloor borehole fiber optical strainemter
2023年11月に南海トラフにおけるゆっくり滑りの広域把握、および高精度化を目的として紀伊半島沖に長期孔内観測システムを設置する予定である。この観測システムは新規で開発を行った孔内光ファイバ歪センサと、熊野灘の長期孔内観測システムで設置実績のある間隙水圧計で主に構成される。孔内光ファイバひずみセンサは、センシング部の200mファイバと基準長200mファイバ間の光路長の変化を光干渉方式により比較計測することで、200mの光ファイバの長さの変化を1nmの分解能で観測することを実現する。センシング部は円筒形のステンレス管に光ファイバケーブルを螺旋状に巻き付けたものである。このセンシング部は孔内に設置後にはセメンチングされ、周囲の地殻変動を計測することができる。孔内光ファイバ歪センサでは、光干渉計測を行う光ファイバについて2種類の温度係数の異なるシングルモード光ファイバを用いている。これは地殻変動による変化と温度変化による変化を切り分けることを目的としており、仮に水の流れなどによる変化が計測された場合は光ファイバの温度係数に応じた変化量を示すことを利用したものである。ゆっくり滑りによる歪変化は非常に微小なものであるため、温度による変化と予め切り分けできる機構は重要となる。また設置時にはセメンチングを行うが、セメントによる影響は数か月から数年にわたり影響があることが考えられる。2023年3月からは神岡鉱山内20m孔において、孔内光ファイバの評価を実施するために孔内光ファイバ歪センサの実証試験装置を設置し、データ評価を行っている。実証試験装置の記録では、設置直後より指数関数と線形成分による長期的な変化を示しており、海底孔内掘削孔に設置時においてもこの影響が予想される。このため現場で使用するセメントを利用して2023年9月から10月にかけて評価試験を実施する予定である。本発表では光ファイバケーブルの温度応答評価、およびセメント試験に関して議論を行う。