11:00 〜 11:15
[S18-07] 第22回地震火山地質こどもサマースクールin平塚「湘南の海のめぐみと地震のひみつ」でこども達が発見したこと
1.はじめに
地震火山地質こどもサマースクール(以降,サマスクと記す)は 1999 年度から小・中・高校生を対象にはじまった行事で,現在,日本地震学会,日本火山学会,日本地質学会が共同で実施しており,地球科学関連では,最大規模の体験学習講座である.COVID-19 の影響により2年間の中断はあったものの,2022 年度から再開した.このサマスクでは,参加者のこどもたちが,第一線の研究者と一緒に地元の見慣れた景観の中に隠された地球の活動を探し,大地や風景のなりたちを考えることを目的としている.2023 年 8 月には,第 22 回サマスク(実行委員長 宍倉正展)を,1923 年の大正関東地震の震源域である神奈川県平塚市とその周辺で開催した.
2.2023 年度サマスクの概要
第 22 回サマスクの概要は以下の通りである.
開催地:神奈川県平塚市とその周辺
日程:2023 年 8 月 17 日(木)~ 8 月 18 日(金)
タイトル:湘南の海のめぐみと地震のひみつ
目的:「湘南平塚の海と大正関東地震」をテーマに,相模湾に面した神奈川県平塚市周辺を舞台に開催した.地域のこども達のみならず全国から地球科学・自然体験に興味のある児童生徒を集め,2日間のフィールドワークや実験学習を通して自然現象を探究した.災害による被害が出る地域だが,その土地ならではの魅力があることを理解し,防災が自然科学やまちづくりと密接な関わりがあることを探究した.また,この土地での暮らしや防災について考えることを目的とした.
参加者:小学生 15 名,中学生 18 名,高校生 4 名(計 37 名)
3.協力スタッフ構成
第 22 回サマスクは,実行委員会形式で開催した.
実行委員会は,各学会の講師とひらつか防災まちづくりの会から選出されたメンバー,サマスク運営委員会から選出されたメンバーで構成した.また,スタッフはサマスク運営委員会の委員に加え,ひらつか防災まちづくりの会,平塚市災害対策課,平塚市博物館,地元の学校教員等で構成した.
民官学で構成される面的な協力体制でそれぞれを補い合い,円滑なイベント運営が実現できた.
4.2023 年度サマスクの内容
1 日目は,参加者を 6 つの班に分け,平塚市博物館に集合後,オリエンテーションを行い,2 台のバスに分かれて 4 カ所のフィールをめぐり,大地のなぞについて考えた.向き合った 2 つのなぞは,1.湘南の大地と海は,地震とかかわり,どうやってできた?2.百年後の未来の湘南でどう遊び,どう暮らす?である.
最初に,大磯町の照ヶ崎へ移動し,1923 年 9 月 1 日に発生した大正関東地震により隆起した土地を観察し,ここがどのような地形なのかを考えた.また,丘側にある段丘や防潮扉から,町のつくりや,過去の災害について考えを深めた.2 つ目の観察場所の湘南平では,展望台からの断層地形の観察,湘南平山頂付近で見られる海食台の円礫の観察,防災科学技術研究所の高感度地震観測施設の見学を行った.3 つ目は平塚市の土屋の露頭の観察を行い,地層に刻まれた大地の歴史を目の当たりにした.最後に博物館に移動し,地層が堆積する様子の実験や,相模湾から水を抜き海底地形を観察する実験,さらに付加体が形成して大地が隆起する様子の実験を行った.
2日目は,3 カ所のフィールドを巡った.まず,平塚漁港を訪問し,漁港の設備や漁法,相模湾の海産資源についての説明を受け,海の恵みについて学んだ.平塚市農水産課及び平塚漁協の協力により,防潮扉の開閉実演と地元で水揚げされる魚の試食も行った.次に,旧相模川橋脚が大正関東地震の液状化現象によって出現した茅ヶ崎市内の跡地へ移動し,液状化現象に関して学習,実験を行った.最後に平塚市役所災害対策本部室で防災に関するお話しを伺い,地方自治体による災害への取り組みについて学んだ.
午後は,フォーラムで発表するための準備を行い,平塚市中央公民館大ホールにて,班ごとに発表を行った.様々な視点から2つのなぞについて解き明かし,湘南の海と大地の成り立ちがプレートの境目であることに深く関係することや,100 年後の湘南で暮らすために,防災や地震対策の提案や,湘南の恵みを満喫するレジャープランなどを発表した.発表資料の一部を画像ファイルに添付する.
5.今後の展望
2023 年 9 月 30 日(土)に,日本地震学会&第 22 回地震火山地質こどもサマースクールジョイントフォーラム in 国立科学博物館を開催予定である.2024 年(第 23 回)のサマスクは,徳島県三好市,2025 年(第 24 回)は,長野県木曽町での開催が予定されている.
6. 謝辞
本事業は,公益社団法人日本地震学会,NPO法人日本火山学会,一般社団法人日本地質学会の負担金の他に,ノエビアグリーン財団の助成を受け実施しました.
地震火山地質こどもサマースクール(以降,サマスクと記す)は 1999 年度から小・中・高校生を対象にはじまった行事で,現在,日本地震学会,日本火山学会,日本地質学会が共同で実施しており,地球科学関連では,最大規模の体験学習講座である.COVID-19 の影響により2年間の中断はあったものの,2022 年度から再開した.このサマスクでは,参加者のこどもたちが,第一線の研究者と一緒に地元の見慣れた景観の中に隠された地球の活動を探し,大地や風景のなりたちを考えることを目的としている.2023 年 8 月には,第 22 回サマスク(実行委員長 宍倉正展)を,1923 年の大正関東地震の震源域である神奈川県平塚市とその周辺で開催した.
2.2023 年度サマスクの概要
第 22 回サマスクの概要は以下の通りである.
開催地:神奈川県平塚市とその周辺
日程:2023 年 8 月 17 日(木)~ 8 月 18 日(金)
タイトル:湘南の海のめぐみと地震のひみつ
目的:「湘南平塚の海と大正関東地震」をテーマに,相模湾に面した神奈川県平塚市周辺を舞台に開催した.地域のこども達のみならず全国から地球科学・自然体験に興味のある児童生徒を集め,2日間のフィールドワークや実験学習を通して自然現象を探究した.災害による被害が出る地域だが,その土地ならではの魅力があることを理解し,防災が自然科学やまちづくりと密接な関わりがあることを探究した.また,この土地での暮らしや防災について考えることを目的とした.
参加者:小学生 15 名,中学生 18 名,高校生 4 名(計 37 名)
3.協力スタッフ構成
第 22 回サマスクは,実行委員会形式で開催した.
実行委員会は,各学会の講師とひらつか防災まちづくりの会から選出されたメンバー,サマスク運営委員会から選出されたメンバーで構成した.また,スタッフはサマスク運営委員会の委員に加え,ひらつか防災まちづくりの会,平塚市災害対策課,平塚市博物館,地元の学校教員等で構成した.
民官学で構成される面的な協力体制でそれぞれを補い合い,円滑なイベント運営が実現できた.
4.2023 年度サマスクの内容
1 日目は,参加者を 6 つの班に分け,平塚市博物館に集合後,オリエンテーションを行い,2 台のバスに分かれて 4 カ所のフィールをめぐり,大地のなぞについて考えた.向き合った 2 つのなぞは,1.湘南の大地と海は,地震とかかわり,どうやってできた?2.百年後の未来の湘南でどう遊び,どう暮らす?である.
最初に,大磯町の照ヶ崎へ移動し,1923 年 9 月 1 日に発生した大正関東地震により隆起した土地を観察し,ここがどのような地形なのかを考えた.また,丘側にある段丘や防潮扉から,町のつくりや,過去の災害について考えを深めた.2 つ目の観察場所の湘南平では,展望台からの断層地形の観察,湘南平山頂付近で見られる海食台の円礫の観察,防災科学技術研究所の高感度地震観測施設の見学を行った.3 つ目は平塚市の土屋の露頭の観察を行い,地層に刻まれた大地の歴史を目の当たりにした.最後に博物館に移動し,地層が堆積する様子の実験や,相模湾から水を抜き海底地形を観察する実験,さらに付加体が形成して大地が隆起する様子の実験を行った.
2日目は,3 カ所のフィールドを巡った.まず,平塚漁港を訪問し,漁港の設備や漁法,相模湾の海産資源についての説明を受け,海の恵みについて学んだ.平塚市農水産課及び平塚漁協の協力により,防潮扉の開閉実演と地元で水揚げされる魚の試食も行った.次に,旧相模川橋脚が大正関東地震の液状化現象によって出現した茅ヶ崎市内の跡地へ移動し,液状化現象に関して学習,実験を行った.最後に平塚市役所災害対策本部室で防災に関するお話しを伺い,地方自治体による災害への取り組みについて学んだ.
午後は,フォーラムで発表するための準備を行い,平塚市中央公民館大ホールにて,班ごとに発表を行った.様々な視点から2つのなぞについて解き明かし,湘南の海と大地の成り立ちがプレートの境目であることに深く関係することや,100 年後の湘南で暮らすために,防災や地震対策の提案や,湘南の恵みを満喫するレジャープランなどを発表した.発表資料の一部を画像ファイルに添付する.
5.今後の展望
2023 年 9 月 30 日(土)に,日本地震学会&第 22 回地震火山地質こどもサマースクールジョイントフォーラム in 国立科学博物館を開催予定である.2024 年(第 23 回)のサマスクは,徳島県三好市,2025 年(第 24 回)は,長野県木曽町での開催が予定されている.
6. 謝辞
本事業は,公益社団法人日本地震学会,NPO法人日本火山学会,一般社団法人日本地質学会の負担金の他に,ノエビアグリーン財団の助成を受け実施しました.