The 2024 SSJ Fall Meeting

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Room A

Regular session » S08. Earthquake physics

[S08] PM-2

Wed. Oct 23, 2024 3:15 PM - 4:45 PM Room A (International Conference Hall (4F))

chairperson:Makoto Naoi(DPRI, Kyoto Univ.), Tatsuya Kubota(NIED)

4:30 PM - 4:45 PM

[S08-31] High-Resolution AE Analysis During Hydraulically-Induced Fracturing Using Deep Learning Techniques and Matched Filter Analysis

*Makoto NAOI1, Shiro Hirano2, Youqing Chen3 (1. Hokkaido Univ., 2. Hirosaki Univ., 3. Kyoto Univ.)

破壊を伴う室内実験において,AEセンサによる微小破壊モニタリングは破壊成長過程の観察に有効であるため,連続波形データからより多くのイベントを検出し,震源決定することは重要である.本研究では,室内水圧破砕実験におけるAE連続測定データに,深層学習による自動走時検測とMatched Filter Analysis(以下MFA)を適用し,高品質のAEカタログを作成することを試みた. 解析には,Naoi et al. (2020; GJI)が実施したEagle Ford頁岩を用いた3実験と,Tanaka et al. (2021; GJI)が実施した黒髪島花崗岩を用いた10実験のデータを用いた.これらの実験では,65 x 65 x 130 mmの供試体を用い,供試体中央部に穿孔した直径6 mmの破砕孔に流体を圧入することで水圧破砕を実施し,発生する微小破壊によって放射される波を24個のAEセンサで10 MHz sampling連続収録した.Naoi et al. (2020)とTanaka et al. (2021)はこれらの連続測定データに対し,STA/LTA法によるイベント検出と,AR-AIC法を用いた自動走時検測を行い.最小二乗法でその震源を決定しているが,残差が大きい走時値を動的に省くことで,誤検測の影響を低減する仕組みを導入している. 本研究では,これらの先行研究で最終的に震源決定に使われた検測値及び対応する波形データを用い,1ch波形データ用に微修正したPhaseNet(Zhu and Beroza 2019)走時検測モデルを訓練した.得られた検測値に対して,差分進化法で処理を高速化したREALアルゴリズム(Zhang et al. 2019)を用いてPhase Associationと震源決定を実施し,それらのイベント波形をテンプレートとしてMFAを行うことで,さらに検出イベント数を向上させた.MFA解析においては平野・直井(2024; JpGU)が開発した大規模データを高速に処理可能なDiallelX(https://github.com/ShiroHirano/DiallelX)アルゴリズムを用いた.検出イベントに対して波形相関による相対走時差の読み取りをおこない,Double Difference法(Waldhauser and Ellsworth, 2000)で震源を決定して最終的なカタログを作成した.深層学習モデルの訓練は教師あり学習で行っているものの,その教師データは自動処理で作成したものであり,プロセス全体としては事前のラベル付けが不要である.すなわち,提案手法による自動処理は,連続波形記録が得られさえすれば適用可能である. 上記の手法によって,Naoi et al. (2020),Tanaka et al. (2021)が作成したものに比べ,約10倍の数のイベントをリストしたカタログを作成することに成功した.一連の実験では,水圧破砕の主破壊前後でイベントが続発したために解析が困難な時間帯が存在したが,そのような時間帯にも本手法により多数の震源が決定された.他にも主破壊後の流体圧入時に,Tremorのような波形が観測され,そこから 5 mm 程度の領域で短時間のみ活動するクラスタの存在を明らかにするなど,これまでとは質的に異なる知見が得られた.本解析手法は,室内実験で得られるAEデータから,より多くの情報を引き出すことに寄与すると期待される.