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[S22-02] Precise aftershock activity by rapid response seafloor seismic observation in the eastern source region of the 2024 Noto-Hanto earthquake
石川県能登半島を震央とする令和6年能登半島地震が2024年1月1日に発生した。気象庁マグニチュードは7.6であり、本震の発震機構解は、北西-南東方向に圧縮軸を持つ逆断層型である。能登半島では、2020年12月から群発地震活動が継続しており、地下での流体の移動と群発地震活動との関連が示唆されていた。群発地震と違って、今回の能登半島地震の震源域は半島東方の海域に拡がっている。そこで、海域下での余震活動の詳細を明らかにするために、自由落下自己浮上式海底地震計(OBS)の高密度な観測網による海域緊急余震観測を実施した。2024年1月20日から海洋研究開発機構学術研究船「白鳳丸」を用いて34台のOBSの設置を開始した(KH-24-JE01航海)。OBSの設置間隔は、余震の発生深度とほぼ同じと思われる10 kmとした。1月24日にはすべてのOBSの設置が完了し、観測を開始した。海底観測には、固有周波数4.5Hzの地震計を搭載する短周期OBS(SPOBS)、固有周波数1Hzの地震計を搭載し長期観測可能なOBS(LTOBS)、広帯域地震計を搭載するOBS(BBOBS)の3種類のOBSを使用した。地震計から信号はA/D変換され、メモリカードに代表されるデジタル媒体に保存される。1月下旬に設置したOBSのうち、26台のSPOBSは、2月19日から28日にかけて実施された白鳳丸KH-24-JE02C航海により、22日から24日にかけて回収された。また、2月の航海では観測を継続するために新たに20台のLTOBSを設置した。回収したSPOBSのデータにより余震の震源分布と発震機構解を精度のよく求めた。残念ながら1台のOBSからデータが得られなかったが、残りの25台については良好なデータが収録されていた。各OBS記録の時刻をGNSSの情報を用いて標準時に補正した。その後、観測期間中に気象庁が震源決定した観測対象域に震央を持つ地震を対象として、各OBSについてP波およびS波到着時をコンピューター上で読み取った。周辺の陸上観測点についても読み取りを行った。可能な場合には、地震規模推定のために上下動の最大振幅、さらに発震機構解決定のために初動の極性を読み取った。1000個以上の余震について解析を行っている。空間的に精度の高い震源決定には、正確な速度構造が重要である。過去にこの領域で行われた地震波構造探査の結果(Nakahigashi et al., 2012)を元に単純な一次元速度構造モデルを構築した。最上部層の速度と厚さは各観測点毎に異なる。特に海域ではS波速度が遅いことが予想される。そのため、絶対走時を用いる震源決定の際に走時計算に対する補正値(観測点補正値)を導入した。震源域東部である海域において精度の良い震源決定を行うために、海底観測点25点に加えて能登半島最東部に位置する陸上観測点4点を用いた。まず、絶対走時を用いる最尤法による震源決定(Hirata and Matsu’ura 1987)により初期震源を求め、その後、double-difference (DD)法(Waldhauser and Ellsworth 2000)により、震源を再決定した(図)。その結果、震源は海底から深さ約18 kmまでに決定された。観測域の西部については深さが12 kmを超える余震はほとんど震源決定されなかった。一方、東部については震源の深さ12kmが超える地震が発生しており、最も深い地震は震源域最東部に位置している。過去の地震波速度構造探査の結果と比較すると、余震活動は上部地殻内において活発であるように見える。余震は走向の異なる面構造を形成する3つのグループに分かれおり、西部のグループは南東に傾き下がり、中央および東部グループは北西に向かって傾き下がることがわかった。観測域では地震発生断層モデルが構築されており各面構造の浅部延長と断層モデルの上端が対応しており、余震分布は断層モデルとよく一致する。ただし、観測域内の最東部の断層モデルの北側半分に対応する領域では地震活動が活発でない。発震機構解をReasenberg and Oppenheimer (1985)のプログラムにより初動極性を用いて決定した。多くの逆断層型の余震がある一方で、横ずれ型断層の発震機構をもつ地震も見られた。逆断層型および横ずれ型の発震機構解を持つ地震はどちらも北西-南東方向の圧縮が卓越している。さらに詳しく見ると、圧縮軸の卓越方位に地域性があり、ほぼ断層モデルの走向に直交している。