日本原子力学会 2014年春の年会

講演情報

一般セッション

VI. 保健物理と環境科学 » 601-1 放射線の医学・生物学への応用(核医学,生物影響を含む)

[B08-13] 医療被ばく・放射線の生物影響

2014年3月26日(水) 14:30 〜 16:05 B (2号館 22C)

座長:緒方良至(名大)

[B10] マウスを用いたDNA二重鎖切断修復能の年齢依存性の検討

大川あおい1, 柿沼志津子2, 今岡達彦2, 島田義也2, 松本義久1 (1.東工大・原子炉工学研究所, 2.放射線医学総合研究センター 放射線防護研究センター)

キーワード:DNA二重鎖切断修復, 年齢依存性, DNA-PKcs, DNA ligaseⅣ, 大脳, 小脳

社会的関心が高まっている放射線の影響の一つに、子供と成人の放射線感受性の違いがある。広島・長崎原爆被爆者の白血病・固形がんでは小児の方が感受性は高いとされている。また、動物を用いて発がんの年齢依存に関する研究は行われているが、そのメカニズムについては余り明らかになっていない。本研究は、DNA二重鎖切断修復能、特に、非相同末端結合(NHEJ)の能力の年齢差を調べることを目的とした。1週齢と7週齢の雌雄のマウスから様々な臓器を採取し、NHEJ関連タンパク質の発現をウエスタン・ブロット法により検討した。その結果、特に、大脳、小脳において、DNA二重鎖切断修復においてセンサーの役割を果たすDNA-PKcs発現量の週齢差が認められた。DNA二重鎖切断修復において結合の役割を果たすDNA ligaseⅣ等の発現量の週齢差比較や他の臓器でのDNA-PKcs発現量の週齢差との関係についても検討中で、その結果も総合して発がんの年齢依存性とDNA修復能との関係について考察したい。