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[1I08] 中性子・ミュオンによる日本刀研究
キーワード:中性子、ミュオン、日本刀、内部構造、炭素濃度、結晶組織構造
日本刀は、1000年以上の歴史をもつ美術的にも価値のある金属文化財である。その金属学的特性は、製造法とも関係する重要なものであり、非破壊で系統的測定が望まれている。非破壊測定法として中性子やミュオンは極めて有効なプローブである。中性子ブラッグエッジ透過法(BET)では結晶組織構造情報を、中性子CT測定では内部の構造を調べられる。また、ミュオンを用いることで、鉄の重要な情報の一つである炭素量を調べることができる。これらの手法を用いて室町期の備前刀を測定した。CTから二種の鉄が重ね合わさっている可能性が示された。BETから、鉄の結晶子サイズの変化が分かり、それと鉄の重なりの関係が示唆された。さらに、ミュオン測定では、刃の近くで0.38%、中央付近で0.20%、棟側で0.15%の炭素量が得られた。これらの結果から、棟側で炭素量が少ない柔らかい心鉄が表面近くまで表れていることが示唆された。